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旗竿地(敷地延長)はなぜできる?分譲地に旗竿地がある理由

分譲地

町中を歩いていたり、分譲地を見に行ったりすると、間口が2m程しかない通路を通って奥に家がある旗竿地(通称:敷延)を見かけることがあると思います。

ネット上では、旗竿地はやめたほうがいいなどネガティブな情報が多いのに、旗竿地はなぜできるのか?そこには不動産業者の事情があるのです。

今回は旗竿地が生まれる理由を、解説します。

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旗竿地はなぜできるのか?

旗竿地はもともと一つの大きな土地だった

よく見かける旗竿地の形は以下の図のようなものになります。

旗竿地の図形

間口が2mで、幅も2mの通路部分があって、奥に家を建てる広いスペースがあります。

以下のように駐車スペースが設けられているタイプで、間口が2.5mくらいあるものもあります。

駐車スペースが設けられている旗竿地

このような土地は、初めからこんあ形をしていた訳ではありません。もともとは手前の土地と一体の、下の図の①のようなひとつの土地だったんです。これを分けることによって旗竿地は生まれます。

ひとつの土地を旗竿地と整形地に分けた図

かなり昔、土地の値段がまだ安かった頃や、現在は市街地になっていても昔は農地が広がっていたような場所では、今より1件当たりの土地の面積はかなり広いのが普通でした。

東京なんかでも、街を歩いているととても広い敷地の家がたまにあります。このような家は、ものすごいお金持ちの方が広い土地を購入して家を建てている場合もありますが、多くの場合、先祖代々住んでいる地主の土地です。

先祖代々受け継がれてきた土地だったとしても、土地が広いと固定資産税が高額だったり、庭や植木の管理が大変だったり、相続税が払えないなど負担が大きく維持管理するだけでも大変なんです。

その他、自宅の建て替えや子供が家を購入・建築するためなど、まとまったお金が必要ときなど、様々な理由でまとまった土地が売りにだされます。

ものすごく広くて便利な場所にあるような土地は、マンションデベロッパーが購入してマンションを建てることが多いですが、駅から遠い場合や、土地の広さが①の図のように中途半端な広さだと、戸建ての建売業者が購入して、分譲地や分譲戸建てにします。(最近では不動産投資が人気で、アパートが建てられることも多いです)

①の土地は、160㎡なので約48坪あります。東京23区だと場所にもよりますが、48坪もあれば土地の値段が1億円以上することも珍しくありません。都心部の高級住宅地では、2億円以上することもあります。

仮に土地の値段が1億円だとして、ここに家を建てると建築費で3~4千万円くらいしますので、諸費用も入れるとざっくり1億5千万円くらいはしてしまうのです。

東京だと1億5千万円だせる人はいなくはないのですが、数は少ないのでこのままの状態で売りに出しても買い手はなかなかつきません。

そのような土地を、不動産業者は安く購入します。①の土地を8千万円くらいで購入し、②の土地のように分けて(専門用語では分筆といいます)、旗竿地を4千万、手前の土地を6千万くらいで売りにだします。差額の2千万円が不動産業者の利益になります。

これくらいの価格だと、一般的なサラリーマン世帯でも購入可能な金額になるからです。

なぜ旗竿地と整形地に分けるのか?

もともと一つの土地を不動産業者が、一般の人でも購入しやすい価格にするために土地を分けるのは分かったけど、なんで四角形の土地2つに分けないの?と思われる方もいらっしゃると思うので、今度はなぜ四角形のきれいな形の土地に分けないのかご説明します。

上で載せた図を縦に二つに分けると、以下のようになります。

ひとつの土地を縦に二つに分筆した図

それぞれ80㎡とちょうどいい広さですが、間口が4mしかないのに加えて、奥行きが20mもあります。

一戸建てを建てる際は、建築法規制の他に、実際に建築するに当たって足場や外側の工事をする必要がありますから、土地境界線から50cmくらいは家の外壁を離して建築しなければいけません。

そうなると、建築した家の横幅は3mくらいしかないのに奥行きは20m近くあるとても細長い家になってしまいます。

これだけ細長いと生活しづらいですし、奥の部屋は1年中日当たりが悪くなります。その他縦長過ぎる家は耐震性も低くなりがちです。

また、間取りについても、間口・建物の幅ともに狭く日当たりも悪いので、一般的な土地より制約を受けてしまい、建物の設計も難しいのです。

それであれば、多少土地の形は変だが、家はちゃんとしていて過ごしやすい家の方が、不動産業者としても売りやすいのです。


別のパターンもご紹介します。

間口が16m・奥行きが22m・面積が352㎡(約106坪)で容積率が150%の下の図のような土地があったとします。

そのような土地を、分譲地にすると以下のような分け方をすることが多いです。

広い土地を旗竿地と整形地に4分割した図

このエリアの土地相場がだいたい坪200万円だったとすると、そのままの状態では土地価格だけで2億円以上してしまいます。その場合高すぎてなかなか買い手が現れません。

このような土地を不動産業者は坪150万円、総額約1億6千万円くらいで購入します。

住宅用地は、一番その土地にあった建物を建てるのに丁度いい広さのときかつ、利益を求めて土地を購入する不動産業者より、自分で住むために土地を購入する一般の人向けに売るときが一番高く売れます。

大きすぎても小さすぎても、1坪当たりの価格は安くなってしまうんです。

上の図の事例では、3分割するのもなくはないのですが、3分割すると1区画当たりの面積が117㎡(約35.5坪)と少し広めになりますので、坪200万円だと土地代だけで7千万円、建物代と合わせると1億円になってしまって購入者を見つけるのに苦労しますし、間口も5mちょっとしかない土地になってしまいます。

東京23区だと、だいたい家の延べ床面積が80~100㎡くらいの一戸建てを建てられる広さの整形地で、一般の人向けに売却するときが一番坪単価が高くなります。

なので、上の様な土地は丁度いい広さ・価格帯にするために4分割します。すると、四角形の土地が72㎡(約22坪)、旗竿地が104㎡(約31坪)になります。

四角形の土地はちょうど100㎡くらいの家が建てられる大きさなので、1坪当たりの価格が高くなります。また、旗竿地の通路部分に接しているので角地のような日当たり・開放感も得られることから、1坪当たりの価格が坪250万円くらいに高くなっても、土地の価格は5,500万円になり手が届きやすくなります。

旗竿地は整形地の7割くらいの価格になることが多いので、4,600万円(約坪150万円)くらいにして割安感をだしつつ、4区画合わせて2億円くらいにして売却するのです。

旗竿地とは言え、整形地の部分より土地面積が広くて土地価格も1千万円くらい安いとなれば、とても割安に感じますし、実際に手の届く価格になって購入する人もでてくるのです。

余談ですが、旗竿地の購入はお勧めしません。旗竿地は安いというメリットがありますが、それ以上にデメリットの多い土地です。旗竿地のメリット・デメリットについて解説した記事もありますので、居ご興味のある方が是非ご覧ください⇓

旗竿地だけでなく、旗竿地の手前の土地(四角い土地)についてのメリット・デメリットについても解説した記事がございますので、そちらもご興味のある方は是非ご覧ください。

まとめ

旗竿地は、不動産業者がもともと一つの広い土地を購入して売却しやすいように、一般の人が購入しやすい広さ・価格にするための手段として、生み出されます。

もともとの土地が広く、間口が奥行に対して狭い場合、旗竿地と四角形の土地になる場合が多くなります。

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