家を探しているとき、安いので目に付く旗竿地ですが、正直言ってやめたほうがいいと思います。
この立地でこの価格ならいいかなぁと安易に考えると後悔します!旗竿地は注意点が沢山あるので、やめたほうがいい理由を解説します。

旗竿地とは?
旗竿地とは、間口(道路と接している部分)の幅が2mほどしかなく、通路のような敷地を通って奥が広がっている土地のことを言います。図にすると下のような土地です。

旗竿のような形をしているので、そう呼ばれています。他にも敷地を伸ばしたような形から敷地延長を略して、通称【敷延】と業界では呼ばれることもあります。
旗竿地がなぜ生まれるかと言うと、下の図の①のようにもともとは一つの広くて縦長の土地だったものを、このままでは広すぎて高額になってしまいなかなか買い手がつかないため、不動産業者が一般の人にも買いやすいように土地を分けることで生まれます。
下の図のような場合、縦に2分割すると細長くなりすぎてしまうので、図②のように分けることが多いです。

なぜ間口を2mにするかというと、建築基準法という法律で、道路に2m以上接していない土地には建物を建てることができないことになっているためです。(建築基準法第43条)
また、通路部分の長さと建物の大きさや構造によっては通路部分の幅が3m以上や、4m以上必要な場合があります。

価格については、奥の旗竿地の方が面積が約1.5倍広いですが、手前の土地の方が高い値段で売られます。
旗竿地には後述する様々なデメリットがある反面、手前の土地は隣に旗竿地の通路があることで角地に近い解放感があるため、隣に普通の土地が建っている場合に比べて、価値が高く評価される場合もあるためです。
旗竿地の形の5つのタイプ
①代表的なタイプ
旗竿地の一番代表的な形は、下の図ような土地です。

間口が2mで、通路部分も幅が2mあります。通路を通った奥に広い部分があり、ここに家が建っています。
通路部分の幅が2mしかないので、車の駐車はほぼ不可能です。できても人が通れません。(軽自動車ならギリギリ通れるかもしれません)前面道路の幅員が4m以下などの狭い場合は、駐車がさらに困難になります。
家を購入しようとしている人のうち、車を持とうと思っている方は、まず検討対象から外します。
通路部分は使えても自転車置き場か、ちょっとしたガーデニングスペースとして使うくらいしか、使い道はありません。
②駐車場が設けられたタイプ
間口が2.5mになっており、駐車場が設けられているタイプです。

通路部分の幅が2.5mあるので、一応車を駐車することができます。しかし、間口が2.5mしかないため前面道路の幅員が狭いと駐車がしづらいです。
駐車しても人が通れるスペースがあります。
旗竿地の代表的なタイプに比べると、土地の価値は少し上がりますが、駐車場の問題以外は特に解決される訳ではないので、価格としては大きくは変わりません。
③通路部分の幅が広いタイプ
通路部分の幅が3m以上あるタイプです。

間口も通路部分の幅も広いため、車の駐車も問題ないですし、奥の土地に光が当たる部分も多いため代表的なタイプに比べて開放的です。
また、建築や解体する際もこれくらい通路部分の幅があれば重機が使える場合もあるので、普通の土地と同程度のコストで済む場合もあります。
通路部分の幅が広いほど普通の土地に形が近くなるため、価値も高くなります。
旗竿地は家が道路から離れた位置にあるため、プライバシーが守られるので、わざわざ通路部分が3~4mくらいある旗竿地を探す富裕層の方もたまにいらっしゃいます。
④通路部分が真ん中にあるタイプ
通路部分が、土地の真ん中にあるタイプです。

代表的なタイプ同様、日当たりや風通しが悪いです。
一番の特徴は、間取りに制約がでやすいことです。
通常玄関は、端に寄せて設計することが多いですが、このタイプの場合ど真ん中に玄関を置くことになり、部屋など他の部分の設計のも影響します。
⑤旗竿地がくっついたタイプ
旗竿地が左右対称で、くっついたタイプです。

通路部分がくっついているため、一軒だけ旗竿地がある場合より解放感があります。
間口の部分が隣地同士で協定部分になっていることが多く、その場合多少隣地を通って駐車ができるので、代表的なタイプより駐車がしやすいです。
車を駐車しても隣地も通路なので、人が通れることがあります。
しかし駐車場のスペースが狭いことには変わりなく、車の駐車に関して隣地とトラブルになりやすいです。
隣地の人の車の止め方によって、駐車しづらくなったり、狭いのでぶつけやすい、車の間を自転車を通したとき傷つけてしまうなどのトラブルが起こりえます。
旗竿地のメリット・デメリット
旗竿地のメリット
・土地の値段が安い
同じ面積の整形地に比べて3割くらい安い場合が多いです。
土地全体の面積に占める通路部分の面積が大きいほど、価格が安くなります。
通路部分の幅が3mや4mなど広くなると、価格が高くなります。
・プライバシーが守られる
道路から家が離れているのに加え、手前の家の陰にかくれているので、通行人から家の中が見えにくいです。
旗竿地のデメリット
・日当たりや風通しが悪い
手前の凹んだ部分や周囲に他の人の家があるので、日当たりが悪く、風通しもよくありません。
・災害時避難が困難
旗竿地は避難経路が一か所しかありませんので、通路に接する手前の家が火事や地震で倒壊した際は、避難経路が塞がれて避難が困難になります。
・車の駐車が困難
旗竿地は駐車場がない、あっても駐車しづらい、乗り降りしづらいなど、車の利用に問題を抱えている場合が多く、車を所有している人からは購入対象として見てもらえないことが多いです。
間口が2mしかない場合は、車の駐車が困難です。車の幅はサイドミラーも入れると約2mありますので、駐車できたとしても人が通れなくなります。
間口が2m以上あっても、前面道路の幅が狭い場合は駐車困難です。
また、旗竿地が並んでいるような土地の場合は、隣地の人と車の駐車のし方などでトラブルになりやすいです。
車の横を通るときに狭いので、気を使わなければならず、車にキズをつけられてしまったなどのトラブルも起こりえます。
・建設費や解体費が割高になる
旗竿地に新築する場合、不動産業者が一つの広い土地を分割して何棟かまとめて建設することが多いです。その際不動産業者は資材の運搬などがしやすいように、奥の旗竿地をある程度建ててから手前の建物を建てます。そうすればクレーンなどの建設機械も利用できるからです。
しかし古い建物が建っている旗竿地を購入して、解体後に新築する場合は、重機が利用できず解体も建築も資材の運搬も全て手作業になってしまいます。
手作業になる場合、それだけ人手や時間がかかるので、解体費や建設費が割高になります。
また、狭い通路を通って資材を運ぶ際、隣地の壁や塀を傷つけてしまうなどトラブルの危険性もありますので、やりたがらない業者もいます。
・音が聞こえやすく、聞かれやすい
周りの家と近いので、お互い音が聞こえやすいです。
・間取りが制約を受ける
旗竿地は、通常の土地と違って玄関の位置がおのずと決まってしまいます。また、窓に位置やバルコニーの位置なども決まってしまうので、通常の土地に比べると自由に設計できる範囲が非常に狭いです。
・売却するときに売れにくい
旗竿地は、不動産業者が販売する新築の場合はけっこう買い手がつくのですが、中古になると買い手が付きづらい傾向にあります。
特に車が駐車できないタイプや、土地の真ん中に通路があるタイプは売れ残りやすいです。
車が駐車できないタイプは、そもそも車を所有している人からすると検討対象にすら入りません。
土地の真ん中に通路があるタイプは、間取りの制約が大きくなるため、一般的に人気のあるような間取りにしづらいので、人気がありません。
例え建物が注文建築で建てられて、こだわった造りになっていたとしても、価値を上乗せして見てもらえないことが多いです。
結局売れなくて、不動産業者に安く買いたたかれることも多いです。不動産業者は新築するなど、旗竿地の価値を最大限に高めて売却するので、ある程度買い手が付きますが、古い建物が建っている旗竿地はかなり安くないと欲しがる人がいないのが、現実です。
旗竿地の注意点
道路と接している部分が2mに満たない場合は、そもそも建て替えができません。
旗竿地は通路部分があるので、土地面積が広い場合が多いですが、実際に建物を建てられる部分の面積がどれくらいなのかが重要です。土地を購入する場合は、実際に建物を建てられる部分の面積がどれくらいで、どれくらいの延べ床面積の建物が建てられるのか、土地を購入する前に必ず確認しましょう。
車を使用する予定の方は、必ず購入前に実際に駐車してみましょう。駐車できるかどうか・車の出し入れが面倒じゃないか・車を駐車しても通路を通れるのかを確認しましょう。
買ってもいい旗竿地
個人的に旗竿地はあまりおすすめしませんが、中には買ってもそれほど問題のない旗竿地もありますので、ご紹介します。
それは、通路部分の幅が広い旗竿地です。通路部分の幅は最低でも3m以上で前面道路の幅員が6m以上あれば駐車も問題ありません。さらに奥の四角形の部分だけで広さが40坪ほどあれば、ある程度建物と隣地の間にスペースが生まれますし、北側に寄せて建てることが出来れば、日照も確保できます。
以上の理想的な土地を図にすると、下の図のような形です。

ただしこのような土地があった場合、普通の整形地が買えてしまうくらいの価格になってしまうと思われますので、結局普通の土地を買うのがいいのかもしれません。
まとめ
旗竿地の購入は、個人的にはおすすめしません。
旗竿地は、メリットよりデメリットが多い土地です。
特に車の利用がしづらい点と、売れづらい点が大きなデメリットです。
売れづらいという点は、不動産の資産性に問題があるということなので、旗竿地に住むなら購入するより賃貸の方がいいと思います。
・旗竿地のメリット
土地の値段が安い
プライバシーが守られる
・旗竿地のデメリット
日当たりや風通しが悪い
災害時避難が困難
建設費や解体費が割高になる
音が聞こえやすく、聞かれやすい
間取りが制約を受ける
売却するときに売れにくい
旗竿地の購入は、慎重に検討しましょう。
旗竿地以外にも、色々な不整形地について解説している記事もありますので、そちらも是非ご覧ください。