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リノベーションマンションが売れなくて値引き販売が増加⁉築年数の古いマンション価格に暗雲が…

リノベーションマンション

最近では一般的になってきた、築年数の古いマンションをリノベーションして販売するリノベマンション。

そんなリノベーションマンションで値引き販売が増加しているという情報が入ってきましたので、ご紹介します。

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リノベーションマンション最大手インテリックスの業績が振るわない

中古マンション再生販売の最大手企業インテリックスの業績が振るいません。

直近5年の業績は以下の通りです。

インテリックスの売上高と純利益の推移
出典:インテリックスのIR資料を基に当サイトで作成

23年5月期より前は、コンスタントに5億円以上の純利益を計上していましたが、23年5月期は1億円とここ5年で最低水準の利益となっています。

また、直近発表(24年4月5日)された24年5月期の第3四半期決算では赤字となっており、前期同様に芳しくない状態となっています。

インテリックス2024年5月期第3四半期決算短信
出典:インテリックス2024年5月期第3四半期決算短信

この会社は毎年、第4四半期に利益を多く計上することが多いので、通期では利益を確保する予定となっていますが、前期は途中で業績予想の下方修正をしており、確実に達成できるかわかりません。

ではなぜ中古マンション再生販売業界の業績は悪化しているのでしょうか?

中古マンション再生販売業界、業績悪化の要因

最近の中古マンション再生販売業界、業績悪化の要因としては、以下のようなことがあげられます。

・仕入れ価格の高騰

・リノベーションコストの増加

・中古マンション市場価格と購入希望価格の乖離

・値引き販売

それぞれ解説していきます。

仕入れ価格の高騰

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によりますと、首都圏の中古マンション市場は、成約価格が2024年2月において前年同期比で11.5%上昇し、45ヶ月連続(2020年6月~2024年2月)で前年同月を上回りました。

簡単に言いますと、中古マンション価格は上がり続けています。

これは販売価格だけでなく、再生販売する仕入れ物件の価格も上昇していることになりますので、不動産買取再販業者の収益に影響しています。

また、現在はインテリックス以外にも中古マンション再生販売業者は数多く存在し、仕入れ競争も激化していることが予想されます。

物件を仕入れるためには、他社よりも高い買取価格を提示する必要があるため、競争が激しくなればなるほど仕入れ価格も高騰します。

リノベーションコストの増加

内装工事を行う職人の不足や建設資材価格の上昇などにより、リノベーション工事費用が上昇していることも利益を圧迫しています。

また、中古マンション需要が旺盛な現在では、比較的築年数の浅い優良な物件はエンドユーザーが高値でも購入しているため、中古マンション再生販売業者が仕入れられる物件の築年数が古くなっています。

築年数が古くなると、それだけリノベーションするのに必要な工事は増えるため、これもコスト増加要因となっています。

中古マンション市場価格と購入希望価格の乖離

前述した通り、中古マンション価格が上昇を続けていますが、それに対して購入を検討している層の方の所得はそれほど上がっていません。

下の図は名目賃金と実質賃金の対前年比の推移を表したグラフです。

実質賃金の推移
出典:厚生労働省:毎月勤労統計調査

名目とは単純に給与額のことをいい、実質賃金とは名目賃金に物価変動の影響を考慮した数字になります。

例えば給与が2%上がっても、物価が3%上がったら、実質的な給与は2ー3=ー1%ということになり、減ったことになります。

上の図を見ればわかる通り、名目(額面)上の給与は令和3年から前年比で上昇しておりますが、物価が上昇したことにより実質的に使える給与額は令和4、5年と連続で減少しています。

また、前述した通り中古マンション成約価格は24年2月時点で、対前年比+11.5%も上昇しており、給与の上昇率より圧倒的に高い上昇率となっています。

こういった影響により、中古マンション市場価格とマンションを買いたいと思っている人の購入希望価格に乖離が生じ、売れ行きが悪化しています。

大企業を中心に日本でも賃上げの機運が高まっていますが、それでも不動産価格の上昇に全く追いついていないのが現状です。

値引き販売

前述の通り、中古マンション成約価格は45か月連続で上昇していますが、意外なことに中古マンション在庫数は2021年6月を底に増加し続けています。

首都圏中古マンション在庫数
出典:レインズマーケットライブラリーのデータを基に当サイト作成

成約件数については横ばい傾向が続いているため、売れ行きが悪くなっているというより、売買される物件数に対して売り出される物件数が増え続けている状態が続いています。

そもそも日本のマンション数は解体で消滅することはほとんどなく、新築または一部が建て替えられているだけなので、マンションストック数自体が増えているのでこの現象は不思議なことではないのですが、人口は増えていませんので市場に供給される中古マンションがどんどん増えている状況です。

これは買取再販業者にとっては仕入れられる物件数が増えることになりますが、購入者は増えませんので、現状では中古リノベーションマンションは在庫過多の状態になっています。

インテリックスの24年5月期第3四半期決算短信では、「業界における販売在庫の過多を踏まえ、当社ではリノヴェックスマンション販売の事業回転を優先し価格調整を行ったことにより利益率が低下し」との記載があり、値引き販売で在庫を圧縮していることがわかります。

その他、インテリックス同様に中古マンションの再生販売を行っているイーグランドは、24年1月末に業績予想の下方修正を行いました。

下方修正の理由には、「利益面については、価格見直しを実施して長期保有物件の処分を推し進めたことにより売上総利益率が低下し、営業利益、経常利益および当期純利益が前回予想数値を下回る見込みとなりました。」との記載があり、こちらも長期間売れ残った在庫を値引き販売していることがわかります。

>>イーグランド 2024年3月期通期業績予想の修正に関するお知らせ 

今後は中古マンション再生販売業界の不振の影響が、中古マンション価格に出てくる?

築年数が古めの中古マンションに市場とって、中古マンション買取業者は重要なプレイヤーですので、その動向によっては今後の市況に大きな影響が出てくるのではないかと予想されます。

まず業界最大手のインテリックスは、市況の不透明感を踏まえて、事業回転を高めて、リスク軽減と収益向上の両立を図るとしています。

具体的には、厳選仕入→商品差別化→施工期間短縮→早期売却を行う方針です。

厳選仕入や施工期間短縮を目指すということは、無理な高値での仕入れやリノベーションに費用や時間がかかりそうな物件の購入は避ける方向になるのではないかと思われます。

その他、同業のイーグランドのIR資料には、「居住用物件は価格高騰の中で慎重に仕入、3Qは販売活動を優先」との記載があり、実際に前年に比べてかなり仕入れを抑えています。

イーグラントのエリア別仕入状況
出典:イーグラント 2024年3月期 第3四半期決算補足資料

不動産買取業者が仕入れを抑制し、高値での買取競争をやめると、リノベーション前の築年数の古いマンションの売れ行きは確実に悪くなるでしょう。

さらに、市場に売りに出てくる中古マンションの数は今後も増え続けると予想されるため、在庫過剰の状態が常態化する可能性があります。

リノベーションマンション購入希望者にとっては、安く購入するチャンスか?

リノベーションマンション業者が値引き販売して在庫を圧縮しているということは、購入を検討している方にとっては安く購入するチャンスと言えるでしょう。

特に長期間売れ残って在庫となっている物件は、大きな値引き額を引き出せる可能性がありますので、売値でそのまま購入しないで値引き交渉にチャレンジしてみることをおすすめします。

もし今後、在庫処分が進んで適正な水準になると大きな値引きは期待できないでしょう。

まとめ

リノベーションマンションを販売している不動産会社は、過剰在庫・工事コスト上昇などにより物件の売れ行きが悪くなっており、業績が悪化している。

現在は値引き販売で在庫処分をするとともに、仕入れも抑制傾向なので、今後築年数の古いマンション価格にマイナスの影響が出てくる可能性がある。

購入希望者にとっては、大幅に値引きしてもらえる可能性がありチャンス!

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