
家を購入するとき、既に契約して手付金も払っているのに、住宅ローンが通らなかったらどうなるのか?手付金は返ってくるの?損害賠償を払わなければいけない?など、心配な方もいらっしゃるかもしれません。
通常、売買契約を結ぶ前に、住宅ローンの事前審査をしてから売買契約を結びますが、事前審査は通っているのに、その後の本審査でローン審査に落ちてしまうことがあります。
そうなっても大丈夫なように、売買契約書にはローン特約を記載するのが一般的です。
ここではローン特約に関する注意点を4つ解説します。ローン特約は有り無しだけでなく、解説している注意点に気を付ければ大きなトラブルを事前に防ぐことができます。
売買契約書に、どのようなローン特約が記載されているか必ず確認して、必要があれば内容を変更や追加してもらいましょう。
不動産売買契約書のローン特約4つの注意点
ローン特約とは?
ローン特約とは、売買契約締結後に住宅ローンの本審査が通らなかった場合、売買契約自体をなかったこと(白紙解除)にできる特約です。
売買契約時に払った手付金は全額返ってきますし、損害賠償を請求させることもありません。
通常、契約というのは結んでしまうと、契約内容を行わなければいけないという法的義務が発生してしまいます。
家の購入で例えるなら、売買契約を結ぶと契約当事者に以下のような義務が発生します。
買主 ⇒ 家の購入代金を払う
売主 ⇒ 家と土地を引き渡す
売買契約後、住宅ローンの本審査に落ちてしまった場合、買主は家の購入代金を払う義務を果たすことができなくなってしまいます。
義務を果たせないと、損害賠償を請求される可能性があります。
また、不動産の取引で売買契約時に払う手付金は、法的には解約手付というもので、契約を解除するには、手付金を放棄しなければいけません。
そんな大きなリスクがあっては、怖くて家を購入できません。
そういったことにならないようにするために、売買契約書にローン特約を記載するのです。
ローン特約の4つの注意点
ローン特約は、有り無しだけでなく、内容についても注意しなければいけません。あいまいな内容だと、後々トラブルになりかねません。
トラブルを防ぐための注意点を4つ解説します。
1、ローン特約条項が、売買契約書に記載されているか
そもそも売買契約にローン特約が記載されているかが、重要なポイントです。
この特約を売買契約書に記載していないと、もし住宅ローンの本審査に落ちてしまった場合、手付金が戻ってこないのに加え、損害賠償を請求される可能性があります。
一般的に住宅を購入する際は記載されていますが、わざと記載しない悪徳業者も存在しますので、必ず確認しましょう。とくに仲介会社通さず、建売業者などから直接購入する場合は注意が必要です。
2、ローン特約の内容が細かく記載されているか
ローン特約に、金融機関名・ローン承認期限・融資額・契約解除期限などが細かく記載されているかが、重要です。
ローン特約があれば、契約を白紙解除できるのが普通ですが、まれに売主がすんなり白紙解除してくれないことがあります。売主側の主張としては、下記があります。
・金融機関名が記載されていない場合 → 他の金融機関であれば通るかもしれない
・融資承認期限が記載されていない場合 → 時間をおいて審査すれば通るかもしれない
・ローンが減額された場合 → 別のとこから借りるなど、どうにかしろ
こういったトラブルにならないためにも、売買契約書のローン特約には、金融機関名・ローン承認期限・ローン承認金額・契約解除期限の4つを、必ず記載するようにしてもらいましょう。
そうすれば、万一の際もすんなり白紙解除できます。
3、ローン特約に購入者側が不利になるようなことが書いてないか
稀に購入者側に不利な内容を記載して、売買契約を結ぼうとする悪徳業者が存在します。
例をご紹介します。
・勝手に金融機関が指定されている
・ローン承認期限が異様に長い
・融資額が借入予定額より少ない
・ローン解除期限が異様に短い
・借入申込期限が異様に短い
一つの不動産仲介会社が、売主・買主両方の仲介をして強引に契約しようとする場合や、購入する家が不動産会社が売主となっており直接購入するような場合、こういうことをやる悪徳業者が存在しますので、注意して下さい。
4、借入申込期限があるか?
ローン特約には、銀行への住宅ローン借入申込期限を記載する場合があります。
これは、買主側にとっては記載されていない場合は問題ないのですが、記載されている場合は注意が必要です。
なぜなら、借入申込期限を過ぎて銀行に借入申込してしまった場合、その時点でローン特約による売買契約の白紙解除ができなくなるからです。
まとめ
売買契約を結ぶときは、事前に必ずローン特約の有無と記載内容をしっかりチェックしましょう!
万が一、おかしな点があればすぐに不動産会社の担当者に伝えて、契約書の内容を修正してもらいましょう。
住宅ローンには、売買契約を結ぶ前にする事前審査と、売買契約締結後にする本審査があります。基本的には、事前審査に通れば本審査にも通りますが、稀に本審査に落ちる人がいます。
本審査で落ちるパターンについて解説した記事も書きましたので、興味のある方はご覧ください。