家の売買契約を結んで頭金も払った後、もし本審査に落ちてしまったらどうしよう...なんて不安に思う人も多いと思います。
事前審査に通っている場合、本審査で落ちることはほとんどありませんが、稀に本審査が通らない方がいらっしゃいます。
本審査で落ちると、基本的には契約解除となってしまいます。
今回は本審査で落ちる人とはどんな人か?元不動産仲介会社勤務の宅建士が、解説します。
どんな人・どんな場合に本審査に落ちるのかがわかりますので、知っていれば本審査に通る可能性を高めることができます。
住宅ローンの本審査に落ちる5つの理由
住宅ローンには、物件の売買契約前に行う『事前審査』と、売買契約後から決済前の間に行う『本審査』があります。
まず初めに、本審査で落ちる人は滅多にいません。
本審査で落ちる理由は、主に5つあります。
1、事前審査のとき、申告内容について嘘をついている
2、事前審査後に、新たな借り入れをしている
3、事前審査後に、既存の借入が約束通り返済できていない
4、団体信用生命保険に加入できない
5、購入する物件に問題がある
それぞれ解説します。
1、事前審査のとき、申告内容について嘘をついている
事前審査と本審査では、提出する書類に違いがある場合があります。
事前審査で自己申告した情報が、本審査で提出した確認書類の情報と違った場合、審査基準から外れて落ちてしまう場合があります。
また、銀行は借りる人が信用できるかどうかを重視しています。申告内容で嘘をついてる場合、信用できない人物として扱われます。
審査に通るように、ついついいいことを言ってしまいがちですが、嘘をついても後でばれますので、必ず事前審査の段階で、年収や勤務先、自己資金の額などを正直に話しましょう。
2、事前審査後に、新たな借り入れをしている
住宅ローンの審査では、返済比率(返済負担率ともいう)というものを審査可否の判断材料として重視しています。
返済比率とは 年間返済総額 / 税込み年収 で算定される割合です。
要は、年収のうちどれくらいの割合を返済に回さなければいけないのか?という数値です。
返済比率が高い場合は、月々の返済が厳しい状態ということです。
注意しなければいけないのは、返済比率の計算に用いる返済額は、今回借りる住宅ローン以外の返済も含んで計算されることです。
例えば、車のローンや奨学金、キャッシングなどの返済額も含まれます。
事前審査後に新たな借り入れをすると、返済比率が悪化して金融機関の審査基準から外れてしまう場合があります。
そうなると、本審査に落ちてしまうことがあります。
事前審査後~本審査中には、絶対に新たな借入はやめましょう!
3、事前審査後に、既存の借入が約束通り返済できていない
金融機関は、審査のときに個人の信用情報を見ることができ、クレジットカードや自動車のローンなどの返済を約束通り行っているのか確認します。
事前審査時点では問題なくても、事前審査通過後に既存の借入の返済ができていなかった場合、住宅ローンの返済も危ういとみなされ、本審査で落ちることがあります。
たまたま忘れていて、一度だけならそれほど影響しないことが多いですが、事前審査~本審査の間に2か月連続や、複数のローンの返済ができていない場合は、危険です。
既存の借入の返済には注意しましょう。
4、団体信用生命保険に加入できない
団体信用生命保険(通称、団信)とは、契約者が死亡した場合や高度障害になった際に、住宅ローン残高と同等の保険金が支払われ、住宅ローン返済が免除される保険です。
基本的に民間銀行では、住宅ローンを借りる際団信への加入が義務付けられており、団信が組めないと住宅ローンを借りることはできません。
多くの場合、事前審査の段階で団信の審査をすることは稀だと思います。
本審査のとき初めて団信の審査をして加入できなかった場合、民間の住宅ローンでは本審査に落ちてしまいます。
実際に持病持ちの方で、団信に加入できずに、住宅ローンの審査で落ちてしまう方がいらっしゃいます。
しかし、そういった方でも借りることができる住宅ローンがありますので、ご安心下さい。
それは、住宅金融支援機構の住宅ローン【フラット35】です。
フラット35は、団体信用生命保険への加入が任意です。
家を購入しようとしている方で、持病のある方は、はじめから民間銀行の住宅ローンだけでなく、フラット35にも審査を申込んでおくことをおすすめします。
しかし、フラット35は利用できる物件とできない物件がありますので、注意が必要です。
フラット35についてご興味のある方は、詳しく解説した記事がありますので、是非ご覧ください。
5、購入する物件に問題がある
事前審査では、購入する物件についての資料をほとんど提出しない場合があります。
特にネットで申し込むタイプの住宅ローンでは、事前審査では本人確認書類と収入、借入関係の書類だけを求められることや、物件に関する資料でも、不動産会社が作った販売資料を提出するにとどまる場合があります。
銀行によっては、事前審査の段階で全く物件に関する資料を要求されないこともあります。
それに対し、本審査では、物件の売買契約書・重要事項説明書の他、謄本や公図など購入する物件に関する詳細な資料を銀行に提出します。
ここで初めて、物件関して何かしら融資できない問題が発覚し、本審査が通らないことがあるんです。
新築の一戸建てやマンションではほとんどないのですが、中古の物件の場合はこういったことが起こりえます。
具体的には、物件が違法建築だった、接道に問題があった、築年数が古すぎる、マンションの場合は管理状態に問題があるなどです。
ネットではなく対面で住宅ローンを申し込む場合や、仲介会社の営業マンに住宅ローンの審査手続きをお願いする場合は、事前審査の段階で物件の詳しい状況を説明することが多いので、物件に原因があって住宅ローンが組めないことが、事前審査の段階でわかることが多いです。
しかし、ネットで申し込むタイプは、事前審査では収入と借入価格に関する、本当に簡易的な審査しかしない場合があるので、注意が必要です。
住宅ローンの本審査に落ちたときにするべきこと
住宅ローンの本審査に落ちた場合は、すみやかに仲介会社の担当者または、売主に報告して下さい。
住宅ローンの本審査は、基本的に不動産の売買契約後です。売買契約時ということは、手付金も数百万円支払っていると思います。
不動産の売買契約書には、通常、住宅ローンの本審査に通らなかった場合に備えて、ローン特約が記載されています。
ローン特約とは、住宅ローンの本審査に落ちた場合、契約をなかった状態にできる(白紙解除)というもので、支払った手付金は返してもらえますし、契約不履行による損害賠償等も請求されません。
しかし、ローン特約と一言で言っても、記載されている内容によっては白紙解除できなくなる可能性もあるので、記載内容には十分注意して下さい。
特に、解除期限が重要なので、解除期限前に売主側に本審査に落ちて契約解除したい旨を伝えないと、手遅れになる可能性があります。
ローン特約についての注意事項をまとめた記事がありますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
>>不動産売買契約書のローン特約について、4つの注意点を解説
ローン特約解除期限が過ぎてしまうと、手付金が返ってきません。
まとめ
< 本審査に落ちる4つの理由 >
1、事前審査のとき、申告内容について嘘をついている
2、事前審査後に、新たな借り入れをしている
3、事前審査後に、既存の借入が約束通り返済できていない
4、団体信用生命保険に加入できない
上記が主な理由ですが、基本的に団信が通り、事前審査の内容に嘘がなく、住宅ローン以外の借入について事前審査のときの状態と変わらなければ、落ちることはありません。
持病がある方は、事前審査の段階で団信の審査も受けてみるか、団信加入が任意のフラット35に申し込むことをお勧めします。
万が一、住宅ローンの本審査に落ちた場合は、速やかに仲介会社の担当者または、売主に報告しましょう。
解除期限が過ぎた場合、ローン特約が利用できず、手付金が返ってこない可能性があります。