家は色々な構造・工法で建てられており、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
注文住宅で家を建てようと思うけど、どの構造・工法がいいのかわからない……
どんな種類があるのか知りたい!
そんな方のために、家の構造・工法の種類とそれぞれの特徴、坪単価などを解説します。
一目でわかる比較表もあるので、是非最後までご覧ください!
私がおすすめするのは、RC造(鉄筋コンクリート造)です。読んでいただければその理由がわかります。
家の構造・工法の種類
家の構造は、建材によって主に3つに分けられます。
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)です。
また、建材だけでなく様々な工法があり、それぞれ家の性質が異なります。
それぞれの構造が何を使ってどのように建てられているのか、簡単に解説します。
木造
木造とは、柱や梁などが木材でできている家の構造のことです。
主に4種類の工法があります。
1,【木造軸組工法(在来工法)】
2,【ツーバイフォー(2×4)工法】
3,【ツーバイシックス(2×6)工法】
4,【木質パネル工法】
それぞれ解説します。
・木造軸組工法(在来工法)とは
木造軸組工法とは、柱と梁を組み合わせて骨組みのようなものを作って家を建てる工法です。
柱と梁で、建物を支える仕組みとなっています。
古くから家を建てる際に用いられていた工法で、在来工法ともいわれています。
上の写真のように柱と柱の間に、筋交いといって斜めまたはバッテンに木材を取り付けて、耐震性を確保します。
< 木造軸組工法の主なハウスメーカー >
・ツーバイフォー(2×4)工法とは
2インチ×4インチ(38mm×89mm)の太さの木材で四角い枠を組み 、そこに合板を張って壁を作り、壁・床・天井が四角い箱になるような形で建物を支える仕組みとなっています。
上の写真のように、合板で周りをガッチリ固めて耐震性を確保します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについては後程解説します。
< ツーバイフォー(2×4)工法の主なハウスメーカー >
・ツーバイシックス(2×6)工法とは
つくりとしては2×4工法と同じですが、フレームに使う木材が2×4より約5cm長い、2インチ×6インチ(38mm×140mm)の木材を使います。
壁が5cm暑くなるため、その分断熱材を多く入れることができ、2×4に比べて耐震性・断熱性・遮音性が高いです。
< ツーバイシックス(2×6)工法の主なハウスメーカー >
・木質パネル工法とは
木質パネル工法とは、木材で四角い枠を組み、そこに合板貼って作ったパネルを工場で生産し、現場で組み立てる工法です。
壁・床・天井で四角い箱を作り、耐震性の高い強固な構造にするところは、ツーバイフォー(2×4)工法と同じです。
違いは、現場で一から作るか、工場で生産したパネルを現場で組み立てるかの違いです。
< 木質パネル工法の主なハウスメーカー >
木造住宅の平均坪単価
国土交通省が公表している、建築着工統計調査(2021年)によると、木造住宅の全国的な平均建築費は以下になります。
坪単価 … 57万円 ㎡単価 … 17万2千円
延べ床面積が30坪(約100㎡)の家だと、建物本体の建築費は約1,700万円になります。
実際にはハウスメーカーによって、ローコストをウリにしているところや、高級住宅をウリにしているところなどかなり幅がありますので、安いと坪30万円~、高いところだと坪100万円以上します。
鉄骨造
鉄骨造とは、柱や梁などが鉄で作られた建材を使って建てられた家の構造のことをいいます。
鉄骨の厚みによって2つに分けられており、【軽量鉄骨造】と【重量鉄骨造】があります。
同じ鉄骨で建てられる構造ですが、工法も特徴もかなり異なりますので解説します。
・軽量鉄骨造とは
軽量鉄骨造は、厚さ6mm未満の鋼材を利用して建てられる家の構造をいいます。
木造軸組工法と基本的には同じようなつくりですが、使われている建材が木材ではなく鋼材という部分が違います。
柱や梁、筋交いなどに鋼材を利用して建てられています。
< 軽量鉄骨造の主なハウスメーカー >
・重量鉄骨造とは
厚さ6mm以上の鋼材を利用して建てられるものを、重量鉄骨造といいます。
軽量鉄骨造とは、鋼材の厚み以外に工法にも異なっております。
重量鉄骨造では、鋼材が厚くて強度が高いために、軽量鉄骨造よりも柱や梁の本数が少なく、筋交いもいらないラーメン工法という方法で建てます。
ラーメン工法は、柱や梁で四角い箱をつくって建物を支える工法です。
ちなみにラーメン工法のラーメンとは、食べ物のラーメンのことではなくドイツ語で額縁という意味です。
< 重量鉄骨造の主なハウスメーカー >
鉄骨造住宅の平均坪単価
国土交通省が公表している、建築着工統計調査(2021年)によると、鉄骨造住宅の全国的な平均建築費は以下になります。
坪単価 … 84万円 ㎡単価 … 25万5千円
延べ床面積が30坪(約100㎡)の家だと、建物本体の建築費は約2,500万円になります。
この統計データでは、軽量鉄骨造と重量鉄骨造で分かれたデータがないのが残念ですが、大体軽量鉄骨造だと坪単価70~80万円、重量鉄骨造だと80~90万円くらいします。
RC造(鉄筋コンクリート造)
RC造とは、鉄筋コンクリート造の略で、鉄でできた棒で網のようなものをつくり、それをコンクリートで覆っています。
RCとは、英語のReinforced-Concrete(強化コンクリート)の頭文字をとったものです。
コンクリートは、圧縮には強い(重いものが乗っかっても大丈夫)のですが、引っ張られるのに弱いという特徴があります。
それに対して鉄筋は、引っ張られるのには強いが、圧縮には弱いという特徴があるので、鉄筋とコンクリートを組み合わせることで、圧縮・引張どちらにも強くなります。
他の工法に比べて強度が圧倒的に高く、台風で家が揺れるようなこともないですし、地震にも強いです(台風の多い沖縄の住宅は、RC造の家が多い)。
3.11の東日本大震災では、津波によってほとんどの家が流されていますが、RC造の住宅は津波でも流されなかった記録があります。
工法としてはラーメン工法と壁式工法の2つがありますが、RC造のラーメン工法は高層住宅向けの工法で、一戸建て住宅ではあまり利用されませんの、壁式工法について解説します。
壁式工法は、コンクリートの壁で建物を支える構造で、基本的な仕組みは木造のツーバイフォー工法と同じになりますが、鉄筋とコンクリートを組み合わせている構造のため、非常に建物が頑丈です。
壁式工法には、建て方によって2種類の方法があります。
現場で鉄筋を組んでコンクリートを流す【現場打ち工法】と、工場でコンクリートの壁を作って現場で組み立てる【プレキャストコンクリート工法】です。
・現場打ち工法とは
建設現場で鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで建てる工法です。
複雑な地形でも、その土地に合った施工が可能で、壁や床などが隙間のない一つの塊になります。
< 現場打ち工法の主なハウスメーカー >
・プレキャストコンクリート工法とは
鉄筋コンクリートを現場で打つ場合、天候や気温、湿度や職人の腕、現場の状況等によって品質に差が出てしまったり、工期が長引いてしまう可能性があります。
プレキャストコンクリート工法は、鉄筋コンクリートのパネルを工場で作って、現場で組み立てる方法のため、品質が一定で工期についても現場打に比べると短いというメリットがあります。
しかし、コンクリートのパネルを運んできて組み立てなければいけないので、道路が狭い場所や複雑な地形の場所では施工が困難な場合があります。
< プレキャストコンクリート工法の主なハウスメーカー >
RC造住宅の平均坪単価
国土交通省が公表している、建築着工統計調査(2021年)によると、RC造住宅の全国的な平均建築費は以下になります。
坪単価 … 87万3千円 ㎡単価 … 26万4千円
延べ床面積が30坪(約100㎡)の家だと、建物本体の建築費は約2,600万円になります。
鉄筋コンクリート造は、建てる場所によって建築費が大きく異なり、北海道では坪65万円くらい、東京都では坪100万円以上が平均となっております。
建物の構造は、上でご紹介した方法以外にもいくつかあるのですが、家を建てる際には上記方法でほとんど建てられているので、これだけ覚えておけば十分だと思います。
また、家によっては構造を組み合わせて建てることもあります。
例えば1階部分はコンクリート造で、2階が木造の家などです。このような構造を混構造といいます。
木造の場合は、重量を支えるために下の階ほど壁や柱などを多くしなければいけません。
壁や柱が多いと、広々とした車庫やLDKのような広く開放的な空間を1階に設けるのが難しくなります。
そういった問題をクリアするために、混構造が採用されることがあります。
家の構造・工法別メリット・デメリット
つづいて家の構造・工法別のメリット・デメリットを解説します。
建物は構造や工法によって、性能や間取りの自由度などが大きく異なる場合がありますので、家を建てる際にはかなり重要です。
また、コストも大きく異なります。
それぞれの特徴をよく理解したうえで、どんな家を建てるか決めましょう!
木造(木造軸組工法)のメリット・デメリット
建築費の安さと設計自由度の高さが主なメリットです。
ただしそれなりにデメリットも多いので注意が必要です。
木造(木造軸組工法)のメリット
・建築費が安い(2×4工法に比べると高い)
・工期が短い
・メンテナンス、リフォームがしやすい
・設計の自由度が高い
・2×4工法に比べると、大きな空間や大きな窓のある家を建てることが可能
木造(木造軸組工法)のデメリット
・シロアリに弱い
・湿気の多い場所では、木材が腐る可能性がある
・火災の際は建物自体が燃える
・遮音性が低い
私は、木造軸組工法の家に住んでいるのですが、自身の経験についてお話させて頂くと、
家の2階が23帖ほどのLDKになっていまして、壁や柱などがない広々とした空間になっています。
誰か家に遊びにくると、LDKを見て『広い!』と言ってもらえることも多いです。
また、角地なのもありますが、大きな窓が多くて明るく開放感があります。
その反面、地震や台風の際にはよく揺れます。鉄筋コンクリート造のマンションに住んでいたときは、台風で家が揺れるなんてことは経験したことがなかったので、驚きました。
その他、大きな窓が多いので遮音性が低く、外の音がよく聞こえますし、家の中の音も外に漏れやすいです。家の外にいると、窓が閉まっていても子供が騒いでいる声や犬の鳴き声が聞こえてきます。
木造(2×4工法)のメリット・デメリット
軸組工法との主な違いは、気密性と耐震性が高いことです。
ただし、耐震性については家の間取りなどによっても異なりますので、注意が必要です。
デメリットとしては、あまり広々とした開放的な空間を作れないことで、壁をぶち抜くような大きく間取りが変わるリフォームも難しいことがあります。
木造(2×4工法)のメリット
・建築費が安い
・耐震性を確保しやすい
・気密性が高い
木造(2×4工法)のデメリット
・設計の自由度が低い
・広々とした空間を作るのが難しい
・シロアリに弱い
・リフォームしにくい
・火災の際は建物自体が燃える
・遮音性が低い
木造(2×6工法)のメリット・デメリット
2×6工法は、構造的には2×4工法と同じなので、2×4工法と比べたメリット・デメリットを解説します。
壁の厚みが5cm増すため、耐震性・断熱性・遮音性が2×4工法と比べて高いですが、その分価格が高くなります。
木造(2×6工法)のメリット
・耐震性が高い
・断熱性が高い
・遮音性が高い
木造(2×6工法)のデメリット
・設計の自由度が低い
・広々とした空間を作るのが難しい
・シロアリに弱い
・リフォームしにくい
・火災の際は建物自体が燃える
・建設費が高い
木造(木質パネル工法)のメリット・デメリット
木質パネル工法は基本構造がツーバイフォー工法同じなので、メリット・デメリットも同じです。
ただし、工場で生産したものを現場で組み立てるので、品質が一定で工期が短いというメリットがあります。
その反面、大きなパネルを運んでくる必要があるので、道路が狭い場所などトラックやクレーンが入ってこれない場所では、建てることができない場合があります。
木造(木質パネル工法)のメリット
・建築費が安い
・耐震性を確保しやすい
・気密性が高い
・工場生産なので品質が一定
・工期が短い
木造(木質パネル工法)のデメリット
・設計の自由度が低い
・シロアリに弱い
・リフォームしにくい
・火災の際は建物自体が燃える
・遮音性が低い
・建築現場によっては建てることができない
軽量鉄骨造のメリット・デメリット
軽量鉄骨造は、基本的な構造は木造軸組工法と同じですが、素材の違いによりメリット・デメリットが異なる部分があります。
軽量鉄骨造のメリット
・シロアリに強い
・木造に比べると大空間を作りやすい
・工業製品を組み立てるため、施工品質が高い
・工場で生産した建材を現場で組み立てるので、工期が短い
軽量鉄骨造のデメリット
・木造に比べると建築費が高い
・火災に弱い(鉄は燃えなくても柔らかくなって強度が落ちる)
・結露しやすい
・通気性が低い
・遮音性が低い
重量鉄骨造のメリット・デメリット
とにかく広々とした空間のある家や、一面窓の家などを建てたい場合におすすめです。
しかし、大きな鉄骨を運び込む必要があるため、近隣の道路が狭かったり土地の状況によっては、建てるのが難しい場合があります。
重量鉄骨造のメリット
・大空間を確保できる
・大きな窓を設置できる
・工業製品を組み立てるため、施工品質が高い
・シロアリに強い
重量鉄骨造のデメリット
・木造や軽量鉄骨造に比べると建築費が高い
・道路が狭い場所や狭い土地では、建築できないか追加費用がかかる可能性がある
・火災に弱い(鉄は燃えなくても柔らかくなって強度が落ちる)
・結露しやすい
・遮音性が低い
RC造(壁式工法)のメリット・デメリット
RC造は、あらゆる災害に強く寿命も長いので安全・安心に住めますが、建設コストの高さがネックです。
ただし、建築費が高くても建物を長く使えるので、1年あたりの建築コストという見方をすると他の工法より安い場合もあります。
RC造(壁式工法)のメリット
・耐震性が高い
・台風時の強風や、洪水、津波、土砂崩れなどにも強い
・燃えないので火災に強い
・設計の自由度が高い
・耐久性が高く、長く使える(メンテナンスをしていれば100年超も可能)
・シロアリに強い
・遮音性が高い
・気密性が高い
・木造に比べれば広い空間を確保しやすい
RC造(壁式工法)のデメリット
・建築費が高い
・工期が長い
・しっかりと断熱していないと結露しやすい
・建物が重たいので、木造では必要ない地盤改良工事が必要になることがある
・解体するとき解体費が高い
・建物の固定資産税・都市計画税が高い
家の構造(木造・鉄骨造・RC造)比較表と、おすすめの構造
それぞれのメリット・デメリットがわかりやすいように、比較表を作成しました。
比較表の内容はあくまで一般的なものであって、家の間取りや土地の状況、施工品質、ハウスメーカー等によって変わる場合がありますので、ご注意願います。
また、一般的な一戸建て住宅を建てる際のものとなっております。
コストパフォーマンスが高いのは【木造】ですが、コスト以外を考えれば【RC造】の住宅が一番性能が高くておすすめです。
家を建てる際には予算の問題はつきものですし、どんな家を建てたいかによって答えは人それぞれ異なります。
建築コストについては、ハウスメーカーや使う建材・設備、建てる時期、都道府県、敷地条件等によって異なるので、あくまでざっくりとした相場になりますがご紹介します。
木造 … 坪50~60万円
(安いとこでは30万円、高いところでは100万円することもある)
軽量鉄骨造 … 坪70~80万円
重量鉄骨造 … 坪80~90万円
RC造 … 坪85~110万円
木造の高級ハウスメーカーと、RC造の安い工務店などを比べた場合、建築コストが逆転することもあります。
また、同じ構造・工法でも、ハウスメーカー独自の特徴やウリがあったりしますので、一概に高い・安いとは言えません。
家を建てる際は、構造・工法の中からいいと思うものを2種類くらい選んで、その構造で建てられるハウスメーカーに資料請求して、比較検討することをオススメします。
色々なハウスメーカーの資料を見ることで、同じような工法でもどのような違いがあるのかわかります。
ハウスメーカーの情報収集をするときは、不動産情報サイトなどで有名な【 LIFULL HOME’S 】が便利です。
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・建設予定地の住所を選ぶと、建設可能なハウスメーカーが一覧で表示されます。そこには坪単価や工法も記載されていますので、自分たちの予算や気になる工法のハウスメーカーを選んで、資料請求できます。
・ローコスト住宅や3階建て住宅、狭小住宅など、様々なテーマからハウスメーカーを選ぶことも可能です。
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資料請求することで、ハウスメーカーそれぞれの特徴やウリがわかりますので、注文住宅を建てようと思っている方は、ハウスメーカーに資料請求してみましょう!
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まとめ
< 家を建てる際の主な構造・工法の種類 >
< 木造 >
木造軸組工法(在来工法)・2×4工法・2×6工法・木質パネル工法
< 鉄骨造 >
軽量鉄骨造・重量鉄骨造
< RC造(鉄筋コンクリート造) >
現場打工法・プレキャストコンクリート工法
一番性能が高く、おすすめなのはRC造です!
自然災害に強く気密性や遮音性なども高いので、安全・安心・快適に暮らせます。
しかし、建築コストが高いのがネックです。
コストパフォーマンスが高いのは、木造住宅になります。
注文住宅を建てたくて色々な情報を集めている方は、【 注文住宅資料請求【LIFULL HOME’S】 】で気になるハウスメーカーに資料請求して情報収集しましょう。
住宅展示場を回る前に、とりあえず色々なハウスメーカーの資料だけ見てみたいという方にはオススメです。
今回は、家の構造の種類や、それぞれのメリット・デメリットについて解説致しましたが、当サイトでは他にも家を建てる際に役立つ情報を発信しています。
知っておけば役立つ情報ですので、是非ご覧ください!