【不動産調査】建築基準法上の道路種別と私道・公道・2項道路・但し書き道路の違いを解説

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不動産業界に入社した方が、避けて通れないのが、道路調査です。

建築基準法上の道路種別?私道?公道?2項道路?位置指定道路?法外? 何がなんだかわからない…

安心して下さい!私も入社当初は一度説明されただけでは理解できませんでした。私は元不動産仲介会社で勤務していた宅建士で、何度も不動産調査で役所に通い、何百件と不動産調査をしてきました。

そんな私が、当時よくわからなかった点や誤解していた点などを踏まえて、これから役所調査する方や、未だによく理解できないという方のために、なるべくわかりやすく解説します!

【私道】と【公道】の違い

まずは、私道と公道の違いから解説します。

私道と公道の違いは、誰がその道路を維持管理しているのか?で判断されます。

【公道】… 国や地方自治体などの公的なところの道路管理部門が維持管理している道路をいいます。

【私道】… 国や地方自治体の道路管理部門以外が維持管理している道路をいいます。

勘違いしやすいポイント1 公道・私道に所有者は関係ない

勘違いしがちなので気をつけて欲しいポイントが、道路の所有者が誰なのかは関係ないということです。登記簿上の所有者が国や地方自治体であっても、公道とは限らないのです。

道路の所有者が国や地方自治体でも、維持管理しているのが道路管理部門以外の場合は私道になります。

実際にあった具体例をあげると、国が開発した団地に接する道路がありました。この道路部分の所有者は東京都になっていたのですが、当該地の役所の道路課に行くと私道と説明されたのです。当時私は、公的なところが所有している道路=公道と思ったので、驚きました。

調べるとこの道路は団地を含めて所有管理しているのが、東京都の財務局だったためで、一般的な道路のように道路課のような部署が管理していたわけではなかったのです。

逆のパターンもあります。

2項道路のセットバック部分でたまに見受けられるのですが、所有者が一般の個人なのに役所調査に行くと、公道と説明されるのです。

これはセットバック部分について、役所に無償使用承諾の手続きを取ることにより、所有権はそのままですが役所の道路課が維持管理するようになるので、私道ではなく公道になるのです。(こういったやり方をとっていない自治体もあるかもしれません)

上記より、不動産調査の際に前面道路部分の登記簿謄本を取得して、所有者が国や自治体の名前になっているから公道だな!などと勝手に判断しないで、必ず役所の道路課に行って確認しましょう!

道路課に聞かないと、私道か公道かの判断はできません。

勘違いしやすいポイント2 公道・私道と建築基準法上の道路の違い

道路調査でこんがらがってしまいがちなことの一つに、公道・私道・建築基準法上の道路種別の違いがよくわからない、というのがあります。

先ほど説明した通り、公道か私道かの違いは誰がその道路を維持管理しているか?の違いしかありません。

建築基準法上の道路だから公道、建築基準法外だから私道、などということは一切なく、建築基準法上の道路には私道も公道もあります

ただし、道路のように見える部分が建築基準法外(建築基準法上の道路じゃない)だった場合、公道・私道どちらでもなくなります。これは道ではなく、単なる誰かの敷地です。

このような土地は、業界では説明しやすいように私有地とか通路、法外など言って道路と言い分けています。

公道と私道、それぞれのメリット・デメリット

公道と私道は、道路の管理者が異なるということをわかって頂けたかと思いますが、管理者が違うこと以外にどのような違いがあるのか?家の前面道路が公道・私道だった場合の、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

公道のメリット・デメリット

公道のメリットは、以下になります。

・道路が破損して穴が開いて凸凹になっていたとしても、補修は管理者である国や地方自治体などがやってくれる。

・建物を新築する際など、道路に埋設された水道館やガス管などの工事をしやすい。

・家の前に違法駐車がいても、警察に通報すれば駐車違反で対応してくれる。

・前面道路が私道の家より、評価価格が高くなる。

公道のデメリットは基本的にありませんが、しいて言うなら地味なアスファルト舗装しかないということくらいでしょうか。

私道のメリット・デメリット

私道のメリットは以下になります。

・石畳やレンガ舗装など、お洒落な舗装が可能。

・土地の収用があった場合や、近隣の未接道の人がいた場合に売れる。

・特定の人しか通行させないこともできる。

・自分が私道を持っている場合、他人から通行料や掘削承諾料を貰える。

・私道部分に電柱などが設置されれば、年間数百円程度ですが使用料が貰える。

私道にはデメリットもあります。

・道路が傷んだ場合、私道の所有者の負担で補修する必要がある。

・建て替えなどで掘削工事をする場合、私道の所有者全員の掘削承諾が必要になる(最悪の場合、拒否されれば建て替えできない可能性もある)。

・私道の持ち分が全くない場合、通行承諾を得る必要がある。

・私道は私有地なので、違法駐車されても警察が対応してくれない場合がある。

・公道に接している土地と比較すると、評価額が低くなる。

私道は、メリットもありますがデメリットも多く存在します。

また、掘削や通行など、他の私道所有者の承諾がいるものがあるので、ご近所付き合いも重要になってきます。

私が仲介会社で働いていたとき、私道に接する土地の売却を任されましたが、売主さんが私道部分によく路駐するなどしており、他の私道の所有者から嫌われていたため、掘削承諾が得られず売却の話しが流れたことがあります。

そんなにしょっちゅうあることではありませんが、こういうこともあり得るので注意が必要です。

建築基準法上の道路種別

次は建築基準法の道路種別とはなんぞや?という部分について、解説していきたいと思います。

まず建築基準法についてですが、建築基準法とは建物を建てたり、増改築したりするときに関係する法律で、この法律を守らなければ基本的に家を建てたり、増改築することは許されません。

そして、建築基準法の第43条にはこう記載されています。

『建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。』

この文章は簡単にいうと、道路に2m以上接していないと建物を建てることはできません!という意味です。

では、ここで言う【道路】とはどんなものをいうのか?という話しになりますので、建築基準法では、こういうのが道路だよ!という道路の定義を決めています。

道路の定義については、建築基準法の第42条に記載されており、この道路の定義に該当するのが俗に言う【建築基準法上の道路】なのです。

建築基準法上の道路は、幅員(道路の幅)やいつから存在しているのか、どのような理由でできた道路なのかなどによって、種類や名称が異なり以下のものがあります。

・1項1号道路

・1項2号道路

・1項3号道路

・1項4号道路

・1項5号道路

・2項道路

・3項道路

・43条但し書き道路

・1項1号道路

道路法による道路で幅員4m以上のものです。

国道・都道・区道など、国や市区町村が管理する公道で、よくある普通の道路です。

・1項2号道路(開発道路)

大規模開発分譲地に作られた1項2号道路(開発道路)

開発許可を必要とするような大規模開発をするときに作られる道路で、通称【開発道路】と呼ばれています。

工事終了後に、道路部分は市区町村などに移管されることが多く、その場合は1項1号道路になります。

・1項3号道路(既存道路)

建築基準法が施行された昭和25年11月23日以前から存在する、幅員4m以上の道路です。

1項1号道路との違いは、管理者が国や市区町村などではないため、私道であることです。

・1項4号道路(都市計画道路)

1項4号の都市計画道路
つくっている最中の都市計画道路(1項4号道路)

俗に言う【都市計画道路】のことで、2年以内に新たに作られたり、幅が広くなったりする計画がある道路のことです。

都市計画道路にかかっている土地では、将来的に土地面積の増減や建築規制があるので、注意が必要です。

・1項5号道路(位置指定道路)

小規模な分譲地に作られた1項5号道路(位置指定道路)
小規模な分譲地では、奥の土地も接道要件を満たすため、1項5号道路(位置指定道路)をつくることがある

小規模な土地を開発するときに土地の所有者がつくる幅4m以上の道路で、役所がこの場所は道路です!と指定したものです。

不動産業者が、奥行きのある少し広めの土地を分割して戸建て用の分譲地にする場合に、奥の土地でも道路に接するようにして建物を建てられるようにするために作ります。

役所で購入できる位置指定図という書類に、指定されている道路の位置や幅員などが記載されています。

注意点としては、まれに現況の道路の位置や幅が位置指定図と異なっていることがあり、その場合は建て替える時に道路を復元する必要があるので、土地面積が減る可能性があります。

・2項道路(みなし道路)

2項道路(みなし道路)
左の新築の家の前で道路が広がっている部分が、セットバックした部分

建築基準法が施行された昭和25年11月23日以前から存在する、幅員4m未満の道で、既に建物が建ち並んでおり、役所が定める基準(幅員が1.8m以上あるなど)を満たすものです。

この道路に接する敷地は、建物を建て替える時などに道路中心線から2mまでが道路となるようにしなければならず、道路となる敷地部分には建物を建てることができません。これが俗に言うセットバックです。

敷地の道路を挟んで反対側が、川などの場合は、反対側から4mまでの位置を道路としなければならないため、注意が必要です。

その他、セットバックは自分の所有している土地でも道路という扱いになりますので、車を購入して車庫証明を申請するとき、セットバック部分を車庫用地に含むと車庫証明が取得できませんので、2項道路沿いの家を売買する際には、注意が必要です。

>>2項道路のセットバックした部分を駐車場にした場合、車庫証明は取れるのか解説

・3項道路

新宿区神楽坂にある3項道路
新宿区神楽坂にある3項道路 出典:神楽坂三・四・五丁目地区地区計画

役所が土地の状況によりやむを得ないから、道路幅が2.7m以上4m未満の範囲のうち、この幅でいいよ!と幅員を指定した道路です。

滅多に存在しない道路なのですが、東京だと新宿区の神楽坂に存在し、その他だと京都にあるようです。

ようは、街並みの歴史的景観を守るために無理にセットバックしなくてもいいという道路です。

・43条1項(但し書き道路)

これについては、下の方で別に詳しく解説します。

法外・通路と道路の違い

不動産調査で役所に行くと、ここは【法外】ですね。とか【通路】です。なんて言われることがあります。

このへんもわかりずらいので、道路と法外・通路の違いについて解説します。

不動産や建築関係に詳しくない人にとっては、誰でも通れそうな道や、アスファルトで舗装されている道があったら、それは【道路】だと思ってしまいます。

しかし、不動産建築業界では違います。この業界では、建築基準法上の道路以外は道路とは言わないのです。誰でも通行可能だろうが、アスファルトで舗装されていようが、車が通れようが建築基準法上の道路以外は、道路じゃないんです。

そして、建築基準法上の道路とそうじゃない道路のような部分を区別するために、建築基準法上の道路以外を略して【法外】とよんだり、道路ではなく【通路】といいます。

建築基準法では建物を新築する際に、建築基準法上の道路に2m以上接していなければいけないとされておりますので、道路のような部分が法外の場合、建物を新築・建て替えすることは基本的にできません。

ただし、例外的に建築できる場合があります。それが43条但し書き道路です。

43条但し書き道路

43条但し書き道路扱いの緑道(水路)
写真の緑道は下に川が流れており、基準法上の道路ではないが、43条但し書きを利用して建て替えできることが多い。

建築基準法では、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していなければ、建物の新築・建て替えはできないことになっています。(建築基準法第43条第1項)

しかし、全国には道路法上の道路に接していない土地がたくさんあります。それを全て新築・建て替え不可とすると、様々な弊害が起こってしまします。

そこで、建築基準法第43条の第2項では、建築基準法上の道路に接していなくても、幅4m以上の通路や広い空き地に接している場合など、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、建物の新築・建て替えしてもいいことになっています。

この建築基準法上の道路ではないが、43条第2項に該当するような道のことを、業界では【43条但し書き道路】や【但し書き道路】などと呼んでいます。

一見普通の道路に見えることもありますし、逆に一切道路に見えないような場所も存在し、見た目では一切わかりません。役所に行かないと判断できないのです。

但し書き道路については、不動産や建築のプロであっても詳しくない人が多く、役所調査で法外です!と言われたら、再建築不可物件としてそこで調査を終了してしまう人もいます。

役所の方でも、情報をしっかり管理しているところや親切なところは、「但し書き道路に該当するかもしれないので、担当部署に行ってください。」と案内してくれたりしますが、不親切なところや役所の担当者もよくわかっていない場合は、「基準法外です。」としか説明されずに、自分に知識が無ければそこで終了します。

このような事情から、巷で売られている再建築不可物件の中には、43条但し書きを利用して再建築できる物件が稀に紛れ込んでいます。

43条但し書き道路は、自治体によってはこのような場合は許可しますといった一括許可基準というのを用意している場合があります。

例として、東京都の一括許可基準のリンクを貼っておきますので、興味のある方はリンクからご覧ください。

ここで注意して頂きたいのが、一括許可基準は自治体により少し異なることも珍しくないのと、けっこう複雑な条件がありますので、必ず当該地のある役所の担当部署に確認しましょう。

但し書き道路でも建築できる場合があるといっても、かなりハードルが高いのが現実で、なんでもかんでも建て替えできるわけではありません。

但し書き道路でも比較適容易に建て替えできるパターンは、以下のような場合です。

・但し書き道路沿いに多数家が存在し、そのうちの誰かが建て替えした際に、お互いに問題を共有し、通行承諾書にお互い署名捺印した書類を用意している場合

・但し書き道路部分の所有者(管理者)が、地方公共団体が所有(管理)している場合

これ以外のパターンですと、他の基準法上の道路に接しているため本来であれば全くセットバックする必要のない人に、セットバックしてもらう必要があるなど、とんでもない条件をクリアする必要があることが多く、基本的に建て替えは難しくなります。

まとめ

・私道と公道の違いは所有者が誰かではなく、誰がその道路を維持管理しているのか?で判断される。

・建築基準法上の道路には、公道も私道もある。指定されている道路種別によって公道か私道か判断できるものもあるが、できないものもあるため、役所の道路課など道路を管理している部署に必ず確認する。

・2項道路とは、建築基準法が施行された昭和25年11月23日以前から存在する、幅員4m未満の道で、既に建物が建ち並んでおり、役所が定める基準(幅員が1.8m以上あるなど)を満たすもの。2項道路沿いの土地で、新築や建て替えする場合、道路中心線から2m、反対側の状況によっては反対側の道路境界線から4mセットバックしなければならない。

・43条但し書き道路とは、建築基準法上の道路ではないが、幅4m以上の通路や広い空き地に接している場合など、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められるもの。これらに問題がなければ、建物の新築や建て替えが可能になる。

公道・私道・建築基準法上の道路・2項道路・43条但し書き道路について解説してきましたが、一度読んだだけでは理解できない部分も多々あると思います。

しかし、これを読んだうえで役所に道路調査をしに行けば、理解が深まるのではないかと思います。

道路は見た目では、どれに該当するのかわからないことの方が多く、色々な物件の役所調査を重ねることによってどの道路に該当しそうか勘が働くようになり、事前に気を付けるべき点に対処できるようになります。

不動産・建設業界の方は、どんどん役所調査に行って経験を積みましょう!

今回は道路について解説しましたが、不動産や建設業界では宅建士の資格をとるように言われることも多いです。

宅建になかなか合格できない…これから初めて受験するという方に役立つ記事もありますので、興味のある方は是非ご覧ください。

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