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フロンティア不動産投資法人(8964)

三井不動産がスポンサーの商業施設特化型REIT【フロンティア不動産投資法人】についての情報です。

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概要

フロンティア不動産投資法人のロゴマーク

フロンティア不動産投資法人は、2004年8月に上場した商業施設特化型REIT。

首都圏を中心に東海・近畿・中国・九州・沖縄など広い範囲に複合商業施設やスーパーマーケット、商業ビル、物販店舗、店舗の底地などを所有しており、エリアや物件タイプ、テナントにおいて、バランスよく分散・多様化が図られた質の高いポートフォリオを構築しています。

一般的にデパートなどの大型商業施設では、テナントの売上に連動して賃料が決まる仕組みとなっておりますが、フロンティア不動産投資法人では99.3%が固定賃料の長期固定賃貸借契約を締結しているため、中長期的に安定したキャッシュフローを維持できています。

テナントとの平均契約期間は18.8年と長期に渡っている他、前期末時点の稼働率が100%となっているなど、景気動向に敏感と言われている商業施設を保有していても安定した収益を確保しているのが強みです。

設立当初は日本たばこ産業(JT)がスポンサーでしたが、2008年3月からは三井不動産がスポンサーになりました。

そのため、三井不動産が開発した大型ショッピングモールららぽーとなどの優良物件も所有しています。

ららぽーと
三井ショッピングパーク【ららぽーと】 出典:フロンティア不動産投資法人

基本データ(2023年12月期)

・投資法人名:フロンティア不動産投資法人

・証券コード:8964 → ヤフーファイナンス

・スポンサー:三井不動産株式会社

・運用会社 :三井不動産フロンティアリートマネジメント株式会社(株主:三井不動産 100%)

・物件タイプ:商業施設100%

(リージョナルSC 36.0% 都市型商業施設 25.5% ネイバーフッドSC 17.9% 底地 8.1% 食品スーパー・その他 6.8% アウトレットモール 5.8%)

フロンティア不動産投資法人ポートフォリオ

・投資エリア:全国

(首都圏 54.0% 中部 15.3% 関西 14.7% 中国 7.6% 九州・沖縄 8.3%)

フロンティア不動産投資法人所有物件エリア

・上場日:2004年8月

・保有物件数:41

・NOI利回り:4.9%

・LTV   :45.1%

・鑑定評価LTV:36.3%

LTV=(借入金等+敷金保証金-使途制限のない現預金)/(総資産残高-使途制限のない現預金)

・期末帳簿価額合計 :317,692(百万円)

・期末算定価額合計 :396,297(百万円)

・含み損益     : 78,604(百万円)(+24.7%)

(2023年12月末時点の情報)

分配金

今後の一口当たり予想分配金は以下になります。

第40期(2024年6月期)  10,850円

第41期(2024年12月期)  10,930円

過去の一口当たり分配金の推移は以下になります。

フロンティア不動産投資法人 一口当たり分配金(円)の推移
フロンティア不動産投資法人 一口当たり分配金(円)の推移

分配金は長期的には右肩上がりで増加していますが、ここ3年程は11,000円前後で推移しております。

ポートフォリオ一覧

フロンティア不動産投資法人の保有物件数は41です。

物件名所在地取得時期取得価格
(百万円)
NOI利回り
1イオンスタイル品川シーサイド東京都品川区2004年8月9日20,1005.8%
2イオンモール茨木大阪府茨木市2004年8月9日18,1007.2%
3ブランチ博多パピヨンガーデン福岡県福岡市2004年8月9日
2020年3月13日
7,9055.9%
4上池台東急ストア東京都大田区2004年8月9日1,49011.3%
5ベルタウン丹波口駅前店京都府京都市2005年8月29日2,1306.7%
6イオンモールナゴヤドーム前愛知県名古屋市2006年3月23日24,8004.3%
7サミットストア滝野川紅葉橋店東京都北区2006年9月29日3,1005.8%
8ホームセンターコーナン
広島皆実町店(底地)
広島県広島市2007年4月13日1,9406.8%
9フレスポ鳥栖(底地)佐賀県鳥栖市2007年11月8日3,1786.4%
10ゆめタウン広島広島県広島市2008年2月19日23,2005.5%
11三井アウトレットパーク入間埼玉県入間市2008年7月10日19,9006.1%
12コストコホールセール
入間倉庫店(底地)
埼玉県入間市2008年7月10日2,6005.9%
13Desigual Harajuku東京都渋谷区2008年10月15日3,1003.4%
14イオンタウン田無芝久保東京都西東京市2009年2月18日3,1006.4%
15ドン・キホーテ福岡天神本店福岡県福岡市2009年12月16日3,7005.1%
16三井ショッピングパーク
ららぽーと磐田
静岡県磐田市2010年7月2日15,2006.7%
17ギンザ・グラッセ東京都中央区2010年7月2日13,6001.0%
18志村ショッピングセンター東京都板橋区2011年1月18日4,4306.5%
19三井ショッピングパーク
ララガーデン春日部
埼玉県春日部市2011年2月16日10,0006.5%
20サミットストア横浜岡野店(底地)神奈川県横浜市2012年2月24日5,7005.0%
21VIORO福岡県福岡市2012年2月28日10,1002.9%
22洛北阪急スクエア京都府京都市2012年7月4日8,8006.0%
23池袋スクエア東京都豊島区2013年2月1日20,4005.3%
24コーナン川崎小田栄モール(底地)神奈川県川崎市2014年1月31日7,0005.3%
25三井ショッピングパーク
ららぽーと新三郷
埼玉県三郷市[アネックス棟]
2014年3月25日
[本体棟]
2015年4月1日
2016年8月10日
2021年7月1日
34,0704.0%
26心斎橋スクエア(底地)大阪府大阪市2015年3月2日8,3533.8%
27コストコホールセール新三郷倉庫店 (底地)埼玉県三郷市2015年4月1日3,8104.9%
28コジマ×ビックカメラ那覇店沖縄県那覇市2016年1月25日1,8507.6%
29スーパービバホーム座間店
スーパー三和 座間東原店(底地)
神奈川県座間市2017年7月31日4,3203.5%
30栄グローブ愛知県名古屋市2018年3月28日
2019年3月22日
15,6503.6%
31サミットストア東長崎店(底地)東京都豊島区2018年6月8日2,0222.9%
32池袋グローブ東京都豊島区2019年3月22日
2019年9月5日
20,8003.9%
33心斎橋MGビル大阪府大阪市2019年3月22日5,8403.4%
34TENJIN216福岡県福岡市2020年3月4日2,5503.7%
35ララシャンスHIROSHIMA迎賓館(底地)広島県広島市2020年3月13日1,0404.8%
36銀座5丁目グローブ東京都中央区2021年7月1日5,6203.0%
37竹下通りスクエア東京都渋谷区2021年7月1日6,1903.7%
38三井ショッピングパーク ららぽーと和泉大阪府和泉市2023年10月2日5,198
39新川崎スクエア神奈川県川崎市2023年12月22日9,400
40ヤオコー相模原光が丘店神奈川県相模原市2024年5月1日2,000
41ヤオコー西大宮店埼玉県さいたま市2024年7月1日2500

NOI利回りは、取得時期が新しくなるにつれて低下してきています。

所有物件の平均NOI利回りは5.15% (投資法人全体では4.9%)

しばらく物件を取得しない時期が続いていましたが、2023年後半から4件取得しました。

売却物件

フロンティア不動産投資法人の過去の物件売却情報です。

価格の単位は百万円

取得価格と売買損益の上の数値は、帳簿価格及び帳簿価格に対する売却損益

下の()内の価格は取得価格と取得価格に対する売却損益です。

物件名所在地取得時期売却日取得価格売却価格売却損益
クイーンズ伊勢丹杉並桃井店東京都杉並区2008年7月2024年3月15日3,266
(3,560)
4,7001,434
(1,140)
心斎橋スクエア(建物部分)大阪府大阪市2015年3月2024年2月15日172
(267)
21744
(-50)
イトーヨーカドー東大和店東京都東大和市2009年1月2022年2月15日9,320
(11,600)
9,500180
(-2,100)
パピヨンプラザ(建物部分)福岡県福岡市2004年8月2019年4月4日401
(819)
4010
(-418)
三井ショッピングパーク
アルパーク(東棟)
広島県広島市2013年2月2019年3月18日4,670
(5,400)
3,800-870
(-1,600)
ジョイフルタウン岡山岡山県岡山市2004年8月2016年3月30日9,103
(11,000)
8,685-418
(-2,315)
WV SAKAE(ウーブサカエ)愛知県名古屋市2008年7月2013年11月29日7,000
(7,300)
5,200-1,800
(-2,100)
イオン秦野ショッピングセンター神奈川県秦野市2004年8月2013年11月29日8,060
(9,300)
11,8003,740
(2,500)
UT STORE HARAJUKU(土地の一部)東京都渋谷区2008年10月2012月7月30日25833375
マイカル茨木(土地の一部)大阪府茨木市2004年8月2010年10月12日15194

・心斎橋スクエア(建物部分)は、三井不動産が事業用定期借地権にて建て替え予定。フロンティア不動産投資法人は、建物部分売却後も底地収益を得る予定。

・パピヨンプラザ(建物部分)の売却は建て替えに関するもので、2020年3月に新築した建物を再取得している。

・UT STORE HARAJUKUとマイカル茨木の土地の一部の売却は、都市計画道路用地として売却。

フロンティア不動産投資法人は、上場以来3件の物件売却で売却損を計上しています。

三井ショッピングパーク アルパーク(東棟)の売却損理由

三井ショッピングパーク アルパーク(東棟)
三井ショッピングパーク アルパーク(東棟) 出典:フロンティア不動産投資法人

売却理由としては、「本物件を取り巻く近年の周辺環境の急激な変化や築年数経過による施設競争力の低下等により売上の下落傾向が継続しており、将来の収益性低下が見込まれていました。 そのような状況の中、本投資法人は、将来発生しうるリスク要因(マスターリース契約解消等)やその影響について慎重に検証を行い、本物件の保有を継続するよりも、譲渡損失が発生したとしても、不動産売買市場が活況を呈している現時点で本物件を譲渡し、将来リスクを回避することが望ましいという判断をし、今般、本譲渡を決定いたしました。」と説明されています。

購入当初は、スポンサーの三井不動産による20年間のマスターリース契約を締結しており、長期間安定収益をもたらすとのことでしたが、近隣に競合となる大型商業施設が相次いで開業(2015年:ゆめタウン廿日市・2017年:LECT(レクト)・2018年:ジ アウトレット広島)し競争力が低下。

テナントの入れ替わりが激しく、マスタレッシーの三井不動産は空きテナントを埋めるのに苦労したのか、フロンティア不動産投資法人が所有している東棟以外に、グループで所有している西棟も含めて大和ハウス工業に売却しました。

取得時の合計年間賃料が529 百万円(固定賃料)+売上歩合賃料、稼働率100%、直接還元法の還元利回り6.5%、DCF法の最終還元利回り6.8%、取得時鑑定評価額5,400百万円、取得価格5,400百万円でした。

それに対して売却時は、合計年間賃料が529百万円、稼働率100%と売上歩合賃料がなくなっており、直接還元法の還元利回り10.4%、DCF法の最終還元利回り10.8%、鑑定評価額は3,470百万円と大幅に下がっています(売却価格は3,800百万円)。

ららぽーとのようなブランド力のある大型商業施設であっても、近隣に同様の大型商業施設ができると競争が激化し、不動産価格が下がることがあるという事例であり、他の大型商業施設についても同様の事態が起きていないか、今後起きそうもないか、商業施設系の不動産に投資する際は注意する必要があるでしょう。

ジョイフルタウン岡山の売却損理由

ジョイフルタウン岡山
ジョイフルタウン岡山 出典:フロンティア不動産投資法人

売却理由としては、「本物件を取り巻く近年の周辺環境の変化や小売市場の動向およびテナントとの賃貸借契約条件等の諸条件を踏まえ、将来発生しうるリスク要因やその影響について慎重に検証を行ってきました。 その結果、保有を継続するよりも不動産売買市場が活況を呈している現時点で一定の金額以上であれば譲渡損を計上してでも本物件を売却し、将来リスクを回避することが望ましいという結論に至りました。」と説明されています。

周辺環境の変化としては、2014年11月にジョイフルタウン岡山から北に400m程度の場所に、イオンモール岡山が開業しました。

イオンモール岡山はイオンモールの西日本の戦艦店に位置付けられる巨大施設で、JR岡山駅すぐそば、地下道で直結しているなど、ジョイフルタウンの上位互換と言っても過言ではないスペックとなっており、勝てる見込みがない事から損失覚悟で売却に踏み切ったと予想されます。

ジョイフルタウン岡山は、取得時(2004年8月)鑑定評価額11,000百万円、取得価格11,000百万円でしたが、売却時(2016年3月)はイオンモール岡山が開業した影響を受けてか、鑑定評価額は7,360百万円と大幅に下がっています。

ただし、売却価格は鑑定評価額を大幅に上回る8,685百万円となっています。

ちなみに、ジョイフルタウン岡山は譲渡先の両備ホールディングスが再開発を行い、現在はオフィス、住居、商業、MICE施設からなる複合型施設【杜の街グレース】に生まれ変わっております。

杜の街グレース
杜の街グレース 出典:両備グループ

ジョイフルタウン岡山についても、三井ショッピングパーク アルパーク(東棟)同様に、競合施設の開業による競争力の低下で物件価格が下がった事例と言えます。

WV SAKAE(ウーブサカエ)の売却損理由

WV SAKAE(ウーブサカエ)
WV SAKAE(ウーブサカエ) 出典:フロンティア不動産投資法人

売却理由としては、「メインテナントである株式会社丸井との賃貸借契約の満了時期(2017年1月)まで残り3年強となることから、現在のテナントとの賃貸借契約条件、周辺エリアの賃貸マーケット状況、当該物件の築年数などを踏まえ、将来発生しうるリスク要因やその影響について慎重に検証を行った結果、立地条件や物件スペックは引き続き競争力を有するものの、このまま保有を継続するよりも不動産売買市場が活況を呈している現時点で一定の金額以上であれば譲渡損を計上してでも売却し、将来リスクを回避することが望ましいという結論に至りました。」と説明されています。

IRの通り、ウーブサカエにはメインテナントとして、B1~4Fまではインザルームという丸井グループの家具・インテリアショップが入居していましたが、インザルームは2009年頃から続々と閉店しており、ウーブサカエにあった店舗も閉店となりました(現在は全店閉店)。

その後、ユニクロがテナントとして入る(恐らく丸井が転貸)も、丸井との契約が満了した後には収益性が低下する可能性があったことなどから、損失覚悟で売却したと予想されます。

ウーブサカエは、取得時の合計年間賃料が415百万円、稼働率98.1%、直接還元法の還元利回り4.6%、DCF法の最終還元利回り5.0%、取得時鑑定評価額7,300百万円、取得価格7,300百万円でした。

それに対して売却時は、合計年間賃料が474百万円(取得時+59百万円)、稼働率100%と収益性は向上していましたが、鑑定評価額は6,180百万円と大幅に下がっています。

収益性が高まっているのにも関わらず巨額の売却損となってしまったのは、2008年9月に起きたリーマンショック直前の7月に割高な価格で購入してしまったことと、リーマンショック後に不動産価格が下落したこと、東日本大震災やユーロ債務危機などの影響がまだ残り、本格的な不動産価格上昇が始まる前のまだ不動産価格が安い時期に売却してしまったことにあると思われます。

ウーブサカエは名古屋市中心地の一つ、栄駅近くの好立地にあるため、都市型商業ビルとしてのポテンシャルはかなり高いものがあると思いますが、購入と売却の時期がうまくかみ合わなかった事例と言えます。

評価

フロンティア不動産投資法人は、不動産業界最大手の三井不動産がスポンサーになっているだけあって、全国に優良な商業物件を所有しており、稼働率も期末時点で100%と抜群の安定性を誇っています。

郊外にも多数物件を所有していますが、ららぽーとやイオン、ホームセンターなど、その物件+テナント自体が客を呼び込むような場所になっているため、今後もそれほど空室の心配をする必要はないでしょう。

10年以上前の不動産価格が安かった時期に取得した物件を今も多く抱えており、23年12月末時点で24.7%の含み益があるため、今後金利の上昇で所有物件価格が値下がりしたとしても耐えられるだけの余力はあると思われます。

懸念点としては、以下の三点があります。

・景気後退時などにメリットのある長期固定賃貸借契約だが、インフレで賃料相場が上昇していくような状況では逆にすぐに賃料を引き上げることが難しく、足かせになる可能性がある。

・物件のエリアが広く分散されていると言っても、郊外は人口減少が進んでいるため、地価の上昇や賃料の上昇が期待しずらく、中長期的に見ると価格下落リスクが高い。

・広い土地が確保しやすいエリアでは、競合の大型商業施設が開業しやすく、競争激化により物件の収益性が低下する可能性がある。

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