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中古マンションの資産価値は築年数でどれくらい値下がりする?価格下落率を調査してみた!

資産価値の高いマンションを購入したいけど、築年数が古くなることによる資産価値の減少が気になる…

マンションは築年数によってどれくらい値下がりするのか?築年数ごとの価格下落率が知りたい!

そんな方のために、マンションの資産価値と築年数の関係を、統計情報をもとに調査してみました。

結論としては、マンション価格は新築~築5年まではほとんど価格が下落しませんが、築6年~30年までに約60%も急激に下落し、築31年以降は一転して価格下落率が緩やかになります。

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築年数ごとの中古マンション㎡単価の推移と価格下落率

下のグラフと表は、2021年の首都圏(一都三県)における、マンションの築年数ごとの㎡単価(万円)と価格下落率を表したものです。

2021年の首都圏マンション㎡単価の推移(万円)
マンションの築年数ごとの㎡単価と価格下落率
出典:(株)不動産経済研究所「首都圏新築マンション市場動向」および
(公財))東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー」のデータをもとに作成

2021年に首都圏で販売された新築マンションの平均㎡単価は、93.6万円でした。70㎡に換算すると、6,552万円です。

マンション価格が新築で販売された後どのような価格で推移していくのか見ていくと、築0年~5年までの築浅物件では、なんと新築より若干高く取引されています。

そして、築5年を超えたあたりから築30年まで大きく価格が下落していますが、特に下落率が大きいのが、築26~30年です(たった5年の差で30%以上下落している)。

その後(築31年以降)は、価格下落率が急に緩やかになっています。

つまりマンション価格は、築浅(築5年以内)と築古(築31年以上)はあまり価格が下がらないが、築6年~築30年の間に大きく下落することがわかります。

これには様々な要因があると思いますので、各築年数ごとの㎡単価と価格下落率を詳しく見ていきたいと思います。

築0~5年の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 94.6万円

70㎡換算した価格 6,622万円

平均㎡数 64.84㎡

新築からの価格変化率 +1.1%(+70万円)

築5年以内の価格の特徴としては、新築価格より築5年以内の中古マンションの方が価格が若干ですが高くなっています。

これは、新築マンションが中古マンションになると値上がりするという訳ではなく、中古マンションの方がいい立地の高額な物件が多く取引されたからではないかと思われます。

不動産は同じ物件が一つとして存在していないので、立地のいい築浅の中古マンションの方が新築マンションより高値で取引されるということは、珍しいことではありません。

また、ここ数年は昔に比べると新築マンションの供給戸数が減少傾向にあるため、新築マンションだけでなく、築浅の中古マンション数も需要に対して供給が少ない状態になっていることも要因の一つと考えられます。

データからは築5年以内であればマンション価格の下落はほとんどなく、新築と同じような価格で取引されるということが読み取れます。

築6~10年の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 82.8万円

70㎡換算した価格 5,796万円

平均㎡数 66.86㎡

新築からの価格下落率 -11.5%(-756万円)

築5年ごとの価格下落率 -12.5%(-826万円)

新築から築5年まではほとんど資産価値は変わりませんでしたが、築6~10年になると急激に価格が下落し始めます。

築年数が浅いマンションの購入希望者は、自分たちの希望するエリアに新築マンションがなければ、いい立地にある築浅(築5年以内)の中古マンションを、新築と変わらない価格で購入していますが、築5年を超えてくるとそうもいかないようです。

明確に中古マンションとして認識され始め、新築プレミアムが剝げ落ちるのが、築6年からなのかもしれません。

築11~15年の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 69.4万円

70㎡換算した価格 4,858万円

平均㎡数 70.38㎡

新築からの価格下落率 -25.8%(-1,694万円)

築5年ごとの価格下落率 -16.2%(-938万円)

築10年を超えてくると、さらに大きく下落します。

単純に築年数が10年以下に比べると魅力が下がるというのもあると思いますが、実は築11~15年の中古マンションを買っている人は、築10年以内の中古マンションを購入している人より、少し広めのマンションを購入している傾向にあります。

成約データによると、築0~5年は平均面積64.84㎡、築6~10年は平均面積66.86㎡、それに対し築11~15年は70.38㎡となっており、築0~5年より約2坪、築6~10年より約1坪広いのです。

マンションは築年数が古くなると㎡単価が下がりますが、㎡数が広くなると㎡単価が下がる傾向もあります(ペントハウスのようなかなり広い物件は除く)。

築10年を超えてくると、㎡単価が割安な広めの物件を求める人が多くなることが要因で、㎡単価下落率が少し大きくなると思われます。

別の見方をすると、築10年超の少し面積が狭いマンションは、かなり割安感がないと売れない可能性があるのではないかと予想されます。

築16~20年の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 64.4万円

70㎡換算した価格 4,508万円

平均㎡数 72.80㎡

新築からの価格下落率 -31.3%(-2,044万円)

築5年ごとの価格下落率 -7.3%(-350万円)

築16~20年の中古マンションは、築5年ごとの価格下落率が、築0~5年以内、築31年以上の次に小さくなっております(あまり資産価値が下落していない)。

考えられる理由としては、大規模修繕工事が影響しているのかもしれません。

分譲マンションの大規模修繕工事は12~15年周期で行うことのが一般的で、築16~20年の中古マンションは、ほとんどのマンションが一度目の大規模修繕工事を終えた後で、建物の外観や共用部なども綺麗な状態です。

また、中古マンションの購入を検討している人にとっては、大規模修繕工事を行って間もない物件は、建物の状態や修繕について不安に感じることが少ないため、価格があまり下がらないと予想されます。

不動産仲介会社が中古マンションを販売する際も、大規模修繕工事を最近行った物件については、販売資料などでもアピールします。

築21~25年の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 54.1万円

70㎡換算した価格 3,787万円

平均㎡数 69.24㎡

新築からの価格下落率 -42.2%(-2,765万円)

築5年ごとの価格下落率 -15.9%(-721万円)

築21~25年では、再度価格下落率が大きくなります。

ここまで築年数とマンション価格の変化とその要因を考察するに、

・築10年以内は狭くてもいいから築年数の新しいマンションが欲しい人

・築11~20年は多少古くてもいいから広めのマンションが欲しい人

が購入している傾向にあると思われます。

築21~25年の平均㎡数は69.24㎡で、築11~15年の70.38㎡、築16~20年の72.80㎡より築年数も古く広さも狭くなってることから、築20年を超える物件は安さを求める人が購入しているかもしれません。

安さを求めるということは、価格が低くないと売れませんので、価格下落率も大きくなります。

築26~30年の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 37.2万円

70㎡換算した価格 2,604万円

平均㎡数 61.23㎡

新築からの価格下落率 -60.3%(-3,948万円)

築5年ごとの価格下落率 -31.3%(-1,183万円)

築26~30年は、5年ごとの価格下落率が他の期間に比べて最も大きく、たった5年の変化で30%以上も下落しています。

これほど大きく価格が下落する要因としては、以下のようなことが考えられます。

1 修繕積立金が高い

2 修繕積立金不足

3 住宅関連の税優遇策が利用しづらい

1 修繕積立金が高い

分譲マンションの修繕積立金は、デベロッパーが売りやすくするために、新築時には低い金額に設定されています。

しかし、築年数が経過するとそのままの徴収金額では修繕積立金が不足することがわかり、徐々に値上げされる傾向にあります。

管理費や修繕積立金が高額なマンションは、中古マンション市場で敬遠されるため、販売価格を下げて割安感を出さなければ売れません。

2 修繕積立金不足

築年数が浅いマンションは修繕積立金が低い金額に設定されていても、購入時の一時金があることや、修繕必要箇所も少ないため、一度目の大規模修繕工事を行えないということは基本的にありません。

しかし、築26~30年の中古マンションでは、修繕積立金が不足していることも珍しくありません。

国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査」によると、長期修繕計画に対して修繕積立金が不足していると回答した管理組合の割合は、約35%にも及んでおります。

修繕積立金が不足しているマンション管理組合の割合
出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」

積立金の不足は、大規模修繕工事を近いうちに行う予定がない時期は、あまり問題視されづらいですが、そろそろ行うであろうという築年数で修繕積立金が不足している場合は、一時金を徴収されるリスクがあったりしますので、購入検討者に避けられます。

特に築26~30年のマンションで、大規模修繕工事を2回行っていない物件では、近々二度目の大規模修繕工事を行う可能性が高く、修繕積立金の不足にも注目されやすくなるため、修繕積立金が不足している物件は安くしなければ売れなくなってしまいます。

3 住宅関連の税優遇策が利用しづらい

住宅ローン控除や登録免許税減税などの、住宅関連税優遇策を利用するには色々な条件があるのですが、中古マンションの場合は新築から25年を超えると、耐震基準に適合していることなどを証明しなければならないため、住宅ローン控除などの税優遇策が非常に利用しづらい状況にありました。

ちなみに、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請を受けたマンションであれば、現行の新耐震基準で建てられているので、2021年時点で築26~30年のマンションは新耐震基準に適合していますので、審査機関に依頼すれば基本的に耐震基準適合証明書を取得できます。

発行してもらう料金としては数万円程度とそんなに高いものではないのですが、別途調査費用として十数万円かかる場合があります。

また、必要書類を揃えたり現地調査を行う必要があるなど、面倒で時間もかかりますし、売主の協力も必要になってきます。

中古マンションを購入しようとしている人が、こういったことを知ると、「面倒だから築25年以内の別の物件にしようか!」となる可能性があります。

※令和4年度から、築25年以内という条件が緩和され、昭和57年1月1日以後に建築されたものであれば、耐震基準適合証明書を取得しなくても税優遇策が利用できるようになりました。


こういった要因により、今後築26~30年の中古マンションは人気がなく、価格下落率が大きくなるのではないかと思われます。

実際に中古マンションの築年数別成約数の割合を見ると、築26~30年の成約数の割合が最も少なく、人気がないことがわかります。

首都圏の中古マンション成約件数の築年数別割合
出典:(公財))東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー」のデータをもとに作成

もしマンションを売却するなら、築25年を経過する前にした方がいいと言えるでしょう。

築31年以上の中古マンションの資産価値と価格下落率

㎡単価 35.6万円

70㎡換算した価格 2,492万円

平均㎡数 57.28㎡

新築からの価格下落率 -62.0%(-4,060万円)

築5年ごとの価格下落率 -4.1%(-112万円)

築31年以上に古くなると、急激に価格下落が緩やかになっています。築31年以上ということは、築40年や築50年以上も含まれていることになるので、そう考えるとかなり優秀な数字です。

これには、主に2つの理由があると思われます。

まず一つ目が、マンション価格は【建物の価格】と【土地の価格】が合わさって構成されており、建物は経年劣化するため徐々に価格が下落していきますが、土地は経年劣化という概念がありません。

なので、建物の価値が減少していく期間は価格が大きく下落していきますが、建物の価格が0になった後は土地の価値が残り続けますので、価格が下がりづらくなるのです。

マンション価値の推移のイメージ図

ほどんどのマンションは鉄筋コンクリートで造られており、建物はきちんと手入れされれば100年は持つと言われていたりしますが、今回の調査結果を見ると、市場では築30~35年くらいでマンションの建物の価値はほとんどないと見なされているようです。

二つ目の理由としては、リノベーションマンションの存在があると思られます。

最近は、築年数の古いマンションを不動産業者が買取り、室内を綺麗にリフォームして売り出すリノベーションマンションが流行っています。

リノベーションマンションは、築40年以上などのかなり古いマンションであっても、けっこう高い値段で取引されていますので、リノベマンションの存在が築古の中古マンション価格を押し上げていると思われます。

データがないので予想でしかありませんが、リノベマンションの取引事例を除くと、もっと下落率が大きくなる可能性があります。

マンション価格の決定要因は、築年数だけではないのでご注意!

今回は、マンションの築年数ごとの価格下落率がどうなっているのか、統計データをもとに解説してきましたが、マンション価格は築年数以外にも様々な要因で変化します。

地価はなぜ上がる?不動産価格に影響を与える変動要因を統計データをもとに解説

例えば以下のようなものが、マンション価格に影響します。

これらが、複雑に影響してマンション価格を形成するため、築6年以降のマンションを購入するのはダメという訳ではありません。

実際に首都圏の中古マンション価格は、2013年頃から右肩上がりで上昇しております。

首都圏の中古マンション平均成約㎡単価の推移
出典:(公財))東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー」のデータをもとに作成

上のグラフは、築年数で分けられていない全ての成約物件の平均㎡単価ですが、築年数が古くなってもマンション価格が上昇していなければ、このようなグラフにはなりません。

2012年から2022年までの11年間で、首都圏の中古マンション価格は約75%も上昇しており、皆さんも古いマンションであっても値上がりしているという実感があるのではないでしょうか。

このように、築年数が古くなっても、他の要因が補って余りある上昇要因となれば、マンション価格は上がりますので、狭い視野でいるといいマンションの購入時期を逃す可能性もあるので、注意が必要です。

まとめ

調査結果のまとめは、以下になります。

マンション価格は新築~築5年まではほとんど価格が下落しないが、築6年~30年までに約60%も急激に下落し、築31年以降は一転して価格下落率が緩やかになる。

・マンションの築年数で、最も下落率が大きくなる時期は築26~30年で、前の5年間より30%以上も下落している。

・新築~築10年以内のマンションを購入する人は、築年数の新しさを求めている傾向にある。

・築11~20年以内のマンションを購入する人は、築年数の新しさより広さを求めている傾向にある。

・築21年以上のマンションを購入する人は、築年数の新しさや広さより、価格の安さを求めている傾向にある。

今回の調査結果を、マンションの売却や購入に役立てて頂ければと思います。

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