角地がいいけど高いなぁ~と思いませんか?分譲地などでは、角地とそれ以外の土地では数百万円の差があることも珍しくありません。
高くても角地を買うべきなのか…?
その答えを出すのは、この記事を読んでからにしましょう。
元不動産仲介会社勤務で、実際に角地に住む私が、角地のメリット・デメリットだけでなく、購入する際の注意点を解説します。
角地が高い理由は、それ以外の土地にはない複数のメリットがあるからなのですが、実はデメリットもあるんです。
角地でも購入しない方がいいものもありますので、購入する際は下に記載されている注意点に該当していないか、チェックしましょう。
角地はなぜ高い?角地のメリット・デメリットを解説
角地はなぜ高いのか?は、他の土地にはないメリットがあるからなので、メリットから解説します。
角地の6つのメリット
角地のメリットは以下の6つです。
・日当たりが良く、日照時間が長い
・資産価値が高い
・建ぺい率が増える
・建築する際、広い方の道路の緩い制限が適用される
・間口が広く、設計の自由度が高い
・泥棒に入られにくい
それぞれ詳しく解説します。
日当たりが良く、日照時間が長い
二方向から日が当たるので、日照時間が一方向より長くなります。
特に南東、南西の角地は日照時間が長くなりますので、人気があります。
また、窓のない部屋や窓を開けてすぐ隣の家の窓や壁…なんてことも設計上防げますので、開放的です。
資産価値が高い
角地は、売られている価格も高いですが、自分が購入後に売却するときも、人気があるので高く売れます。
不動産仲介会社に、査定してもらったことがある人ならわかると思いますが、角地だと査定額をプラスしています。
南側一方向に道路と接する土地の価格を100として考えた場合、方角以外の条件が全て一緒なら、南東の角地が115、南西の角地が110、北東の角地と北西の角地が100~105くらいの価値になります。
家の方角ごとの特徴と価格差について興味のある方は、詳しく解説している記事がありますので、是非ご覧ください⇓
建ぺい率が増える
角地に建物を建築する場合は、特例で建ぺい率が10%加算されます。
土地には都市計画というもので、建てられる建物の大きさが決まっており、その制限のひとつに建ぺい率があります。
建ぺい率とは、わかりやすくいうとその土地に建てられる、1フロアあたりの建物の面積のことで、土地に対してどれだけ敷地いっぱいに幅のある建物を建てられるか?という制限です。
例えば100㎡の土地があり、建ぺい率が50%だと、1フロアの面積は50㎡までしか建物を建てられませんが、角地の場合、建ぺい率は+10%されるので60%となり、1フロア60㎡の家が建てられるのです。
建ぺい率が高くなると、単純に面積が広くなるだけでなく、設計の自由度も上がりますので、メリットしかありません。
建築する際、広い方の道路の緩い制限が適用される
わかりやすく言うと、一方向しか道路に接していない土地に比べて、大きな建物が建てられる可能性が高くなります。
下記解説はかなり専門的な内容なので、建築に興味のない方は、読み飛ばしてもらってもかまいません。
建物を建てる際、建築基準法という法律が関係してくるのですが、容積率と斜線制限というものを決めるのに、その土地の前面道路の幅が大きく関係します。
容積率は本来、建ぺい率と同じで都市計画というもので決まっているのですが、前面道路の幅が狭いと、都市計画で決められた容積率より小さい容積率が適用されてしまい、小さな建物しか建てれなくなってしまいます。
例えば、容積率が都市計画で200%と決められた土地でも、前面道路の幅が4mしかない場合は、160%に制限されてしまいます。(住居系用途地域の場合)
二方向に接する角地の場合、4mと5mの道路に接していたら、広い5mの道路で容積率が計算されるので、容積率が200%となり大きな建物が建てられます。
その他、建築する際の制限で、道路斜線制限というものがあります。
道路斜線制限とは、街並みが建て詰まって道路に日が当たらず、狭苦しい雰囲気にならないように、敷地に接する道路の反対側から一定の角度で線を引き、その線より外側には建物をはみ出して建ててはいけないという制限です。
(https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/002/002/006/d00008363_d/fil/8363-1.pdf)
この制限は角地の場合、広い方の道路と敷地の境界線から、広い方の道路の幅×2までの長さの範囲(35m以内)であれば、狭い道路に接していても、広い道路に接しているのと同じ斜線制限になります。
なので、片方の道路が狭くても、もう片方の道路の幅が広ければ大きな建物を建てられます。
間口が広く、設計の自由度が高い
角地は間口が広いので、車庫や玄関、ベランダ、窓などの位置を決める際、一方向しか道路に接していない土地に比べて、圧倒的に設計の自由度が高いです。
車庫は、道路の幅が広く駐車しやすい位置にできますし、窓やベランダも日当たりのいい位置や、開放的な位置などを選ぶことができます。
一方向しか道路に接していない土地は、道路の反対側にある部屋は必然的に日当たりが悪く、カーテンを開けるとすぐ隣の家の窓なんてこともあります。
泥棒に入られにくい
角にある土地は、道路からの視認性が高く、家の前に怪しい人がいたら非常に目に付きます。
また、角地は接している二方向の道路を、人や車が通りますので、一方向しか道路に接していない土地に比べて周りの誰かに見られる可能性も高いので、泥棒に入られない可能性が高いと言われています。
以上が角地の主なメリットです。
角地が高い理由は、簡単にまとめると大きな建物が建てられて、設計する際の自由度が高く、日当たりが良く開放的で人気が高いから。ということになります。
角地の7つのデメリット
メリットがたくさんある角地ですが、実はデメリットもあるんです。
角地のデメリットは以下の7つです。
・土地の価格が高い
・人や車の交通量が多い
・角に隅切りを作らなければいけない
・角を車がこすったり、踏まれることがある
・固定資産税や相続税評価額が高くなる
・家の前がゴミ捨て場になる可能性がある
・道路斜線制限が二方向からかかる
土地の価格が高い
角地は様々なメリットがあり、人気が高いので土地の価格が高いのがネックです。
分譲地などでは、角地とそれ以外の土地の価格差が数百万円することも珍しくありません。
ただし、メリットにも記載しましたが、自分が売るときも高く売れるので一長一短と言えます。
人や車の交通量が多い
角地は、2つの道路に接している交差点にあることが多いので、必然的に家の前を通る人や車の数が多いです。
人や車が通ると、それなりに音がしますので、あまり交通量が多いと夜、外からの音で目を覚ましてしまう可能性もあります。また、家の中を見られやすいです。
角の土地を購入する際は、交通量の多さに注意しましょう。
角に隅切りを作らなければいけない
角地は、交差点を車が通りやすくするために、角の部分を【隅切り】と言って道路状にしなければいけません。(しなくていい場合もあります)
この道路状の部分も自分の土地であることは変わりなく、建築面積の計算に算入することができるのですが、その部分に建物を建てることはできません。
その代わり、隅切り部分が誰でも通行できるようになっている場合、固定資産税・都市計画税が非課税になったり、建ぺい率が10%加算されるなどの特典があります。
角を車がこすったり、踏まれることがある
角地は基本的に角を隅切りにしなければいけませんが、道路が狭い場合、角を隅切りにしても車が曲がるのが困難で、塀などに車がこすっていくことがあります。
塀などがない場合、敷地の一部に車が乗りあげて通行していき、外構が壊されてしまうこともあります。
実際に私の家は、敷地を車に踏まれることや、道路側に花壇のようなものがあるのですが、そこの角にぶつけていく車がたまにいるので、欠けています…泣
玄関が角に近い場合などは、交通事故の危険性も高いです。
前面道路が狭い場合は、注意が必要です。
固定資産税や相続税評価額が高くなる
土地の固定資産税や都市計画税は、固定資産税評価額をもとに税額が決まります。
また、相続税を算出するときは、路線価というものをもとに相続税評価額が決まります。
これらの評価には、どのような道路に接するかが大きく関わっており、角地の場合一方向しか道路に接していない土地より、評価額が高くなり税額も高くなります。
家の前がゴミ捨て場になる可能性がある
地域にもよりますが、ゴミ捨て場は角地に設置されることが多いです。
自分の家の前がゴミ捨て場というだけで嫌ですが、モラルの低い人がいると、カラスがゴミを散らかしたり、収集日以外のゴミが放置されるなどの危険性があります。
角地に限りませんが、購入する前にゴミ捨て場の位置やルールを確認しておきましょう。
道路斜線制限が二方向からかかる
メリットの部分で少し説明した道路斜線制限なのですが、角地の場合2つの道路に接しているので、道路斜線制限も二方向からかかってしまいます。
片方の道路の幅が広ければ問題ありませんが、両方とも4m以下などの狭い場合は、2階建てくらいだとあまり関係ありませんが、3階建てになってくると3階部分がかなり狭くなってしまう可能性があります。
角地を購入する前に確認すべき、注意点
デメリットの項目でも記載しましたが、角地を購入する際に気を付けるポイントを書いておきます。
・接する道路は、人や車の交通量が多くないか
・接する道路の幅が狭く、車が角にぶつかったり乗り上げたりしないか
・ゴミ捨て場の位置が、自分の家の目の前じゃないか
これらに該当する場合、角の土地を買っても後悔する可能性がありますので、必ず購入前に確認しましょう。
上記の内容は、一軒隣の家になるだけで、全て解消される可能があります。
そんなときは、わざわざ高いお金をだして角地を購入するよりも、安い一軒隣の土地を購入した方が、お得で満足いく生活が送れる可能性もあります。
まとめ
角地が高い理由は、簡単にまとめると大きな建物が建てられて、設計する際の自由度が高く、日当たりが良く開放的で人気が高いからです。
角地の6つのメリット
・日当たりが良く、日照時間が長い
・資産価値が高い
・建ぺい率が増える
・建築する際、広い方の道路の緩い制限が適用される
・間口が広く、設計の自由度が高い
・泥棒に入られにくい
角地の7つのデメリット
・土地の価格が高い
・人や車の交通量が多い
・角に隅切りを作らなければいけない
・角を車がこすったり、踏まれることがある
・固定資産税や相続税評価額が高くなる
・家の前がゴミ捨て場になる可能性がある
・道路斜線制限が二方向からかかる
角地を購入する際の注意点
・接する道路は、人や車の交通量が多くないか
・接する道路の幅が狭く、車が角にぶつかったり乗り上げたりしないか
・ゴミ捨て場の位置が、自分の家の目の前じゃないか
上記に該当しなければ、あとは予算との相談です。予算に余裕があるなら、買い!だと思います。
今回は角地はなぜ高いのかについて、色々と解説しましたが、土地の価格(資産価値)は道路付け(どんな道路にどう接しているか)や土地の形に大きく影響します。
>【いい土地】とはどんな土地?土地の選び方のポイントを解説します!
その他、色々な土地の形について解説している記事もありますので、ご興味のある方は是非そちらもご覧ください。