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古いマンションは建て替えできない可能性98%⁉成功例の件数・割合・築年数を調査

廃墟化した古いマンション群

自分のマンションは建て替えできるか心配…

築年数の古いマンションを購入しようと思っているけど、将来どうなるんだろう?

マンションって、実際にどれくらい建て替えしているの?

そんな方のために、実際に建て替えに成功したマンションの件数・割合・築年数などを調査しました!

日本のマンションは昭和30年代(1950年代)に誕生し、それから70年近い時が経ちます。

住まいの選択肢の一つとして、広く普及し受け入れられてきましたが、老朽化したマンションが増え続けており、マンションの建て替えが社会問題になってきています。

これをみれば、マンションの建て替えがどれくらい難しいことなのかわかるので、築年数の古いマンションに住んでいる方や、これからマンションを購入しようと思っている方が意思決定するうえでの参考になるのではないかと思います。

調査結果としては、マンションの建て替え件数は、徐々に増えてきてはいますが、マンションの全体数に対する割合は非常に少なく、【マンションは建て替えできない可能性が高い】という結果になりました。

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マンションの建て替え成功例の件数・割合・築年数

マンションの建て替え成功件数

マンション建替え実施状況の推移
出典:国土交通省 マンション建替えの実施状況

国土交通省の資料によると、令和4年4月1日時点でのマンションの建て替え状況は以下になります。

< 令和2年4月1日時点でのマンションの建て替え状況 >

・建て替えを完了した件数     … 270件

・建て替え中の件数        …  41件

・建て替えに向けて準備中の件数  …   5件

合計 316件

日本では、令和4年4月1日時点でマンションが建て替えられた件数は、準備中・建て替え中も含めて316件しかありません。

みなさん、この数値を見てどう思われましたか?

意外とあるじゃん!と思いましたか? それとも、それしかないの?と思いましたか? 

マンションの建て替え件数が、徐々に増えているのは事実です。

しかし、築年数の古いマンションがどんどん増加しているにもかかわらず、建て替え件数の増え方はほとんど一定です。

国は、マンションの建て替えがしやすくなるように法改正するなど対応していますが、上の図を見るとその効果もあまりないように見えます。

件数だけだと全体像がよくわからないので、次に実際に建て替えに成功しているマンションの割合が、どれくらいあるのかみてみましょう。

建て替えに成功したマンションの割合

令和2年4月1日時点で日本に存在しているマンション数約10万、棟数で約12万棟あります。

(一般社団法人マンション管理業協会の、令和2年マンション管理受託動向調査より推測)

戸数で言うと、令和元年末時点で総戸数が約665万戸、その内築40年超の戸数が91.8万戸あるので、築40年超のマンションの割合は、約14%となります。

築50年超の戸数は11.5万戸あるので、築50年超のマンションの割合は、約1.73%になります。(国土交通省の資料による)

つまり、戸数の割合から単純に算出した築40年超のマンション数約1.4万、築50年超のマンション数は約1,730になります。

建て替えに成功したマンションの割合は、

築40年以上のマンション数と比較すると、なんと約2%築50年超でみても、約17%しかありません。

築50年超で約17%もあるなら、そこまで問題ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この数値は建て替えられたマンションの築年数が、全て築50年を超えていた場合で計算した数値ですので、実際にはもっと少なくなります。

建て替えられたマンションの築年数

東京都で過去に建て替えられたマンションのデータによると、築50年以上たってから建て替えられたマンションは、全体の約14%しかありません。

建て替えられたマンションの8割は、築31~50年以内の物件です。

東京都で建て替えられたマンションのの築年数別割合
東京都マンションポータルサイトのデータを引用して作成 
https://www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/index.html

個人的には、思ったよりも建て替えられたマンションの築年数が古くないことに驚きました。

建て替えに至った経緯を調べてみると、建物の老朽化や、設備・間取りなどの設計が古く不便なこと、耐震性の問題などが多いようです。

マンションの建て替えが成功しやすい立地

国土交通省によると、マンション建て替え事例の内、7割が関東地方、2割が近畿地方となっています。

つまり、9割が東京・大阪を中心とした大都市圏で、それらを除いた全国での建て替え事例は30件もないことになります。

戸数から見たマンションの地域別分布は、一都三県で53.5%、京都・大阪・兵庫で20.8%、合わせて74.3%しかありません。

一都三県は、マンションの分布割合(約5割)に対して、建て替え件数に占める割合(約7割)の方が大きいので、建て替えられる可能性が他の地域より高いと言えます。


これには、建て替えてもニーズがある場所なのか?ということと、採算性が関係していると思われます。

東京都の建て替え事例によると、全件数65件のうち、40件(61.5%)が都心6区の案件でした。

また、建て替える際に、デベロッパーなどのマンション事業者が参加せずに、マンションの区分所有者達が自分達だけで建て替えることは、過去の事例をみるとほとんどありません。

東京都の場合、事業者が参加せずに建て替えたものは、実質的には2件です。

一件は、規模が小さかったもので、もう一件は不便な場所にあったために事業者が参加してくれず、やむを得ずといった理由のようです。

9割以上は、デベロッパーが事業参加しております。デベロッパーは建て替え後のマンションを売却して、利益を得るのが目的ですので、都市部など採算性のある場所でなければ参加してくれません。

つまり、購入したマンションの建て替えを期待しているのなら、築4,50年でも需要のある場所でなければ難しいと思われます。

少し古いデータですが、国土交通省が行った平成20年に行ったアンケートによると、

・現在のマンションが既存不適格(容積率オーバー等)で事業スキームが組み立てられなかった

・建替えの事業主体となってくれる適当な事業協力者(デベロッパー等)等が見つからなかった

などの、事業の採算性の問題により、建て替えできないマンションの存在が明るみになっています。

マンションの建て替えを進めるに当たっての問題点
引用:「分譲マンションの建替え等の検討状況に関するアンケート調査結果について」

採算性の重要性については、他のデータにも表れています。

東京都のマンションのの建て替え前後の戸数変化率
東京都マンションポータルサイトのデータを引用して作成

上の図は、建て替え前と後とで、どれくらい戸数が増えたか?というグラフです。

建て替え後のマンションの、約94%が建て替え前より戸数が増えています。

この増えた戸数というのは、参加したデベロッパーなどの事業者によって売却され、事業者にとっては売却益が、区分所有者にとっては、マンションの建設費に充当されていると思われます。

このように戸数が増やせる物件の場合、建て替えられる可能性が高いですが、戸数が増やせないと、事業者が参加しなかったり、区分所有者は大きな金額の持ち出しが必要になるなど、建て替えできなくなる可能性が高まります。

建て替えに成功したマンションの規模

マンションを建て替えるには、区分所有者の議決権の4/5以上の賛成が必要です。

マンションの規模が大きくなればなるほど、色々な考え、事情の方が増えますので、合意形成が難しくなります。

東京都で建て替えられたマンションの規模を、戸数別の割合でみてみると

50戸以下のマンションが約半数、100戸以下が約75%を占めています。

東京都で建て替えられたマンションの戸数別割合
東京都マンションポータルサイトのデータを引用して作成

ちなみに上の図には載っていませんが、200戸以上の大規模マンションだと、10%未満になっています。

東京都全体に占める大規模マンション数と、中小規模のマンション数の割合がわからないので、なんとも言えないのですが、規模が大きなマンションの方建て替えるのが大変なのは間違いないと思います。

建て替えられたマンションのうち、大規模なものはほとんどが団地です。

最近はタワーマンションが増えていますが、今後建て替えとかどうするんでしょう?

タワーマンションは割と新しい建築物なので、まだ建て替えの問題は表面化していませんが、20年くらいしたらそのような話しも出てくるでしょう。

将来、建て替えられる可能性が高いマンションの特徴

今までの調査結果から、将来建て替えられる可能性が高いマンションの特徴は以下になります。

・都市部にある(できれば一都三県や近畿圏)

・立地がいい(デベロッパーが参加したいと思うような場所)

・容積率に余裕がある(建て替え後に戸数を増やすことができる)

・規模が比較的小さい

建て替え事例のうち、9割が関東圏・近畿圏で行われています。

そのなかでも、都心部など人気の高い立地で、建て替えが多く行われています。

また、マンションの区分所有者だけで建て替えを行うのはかなり困難なので、建て替えの際は、基本的にマンションデベロッパーに参加してもらう必要があります。

参加してもらうには、容積率に余裕があって戸数を増やせることや、デベロッパーがマンションを販売しやすい立地にあることが重要です。

その他、マンションの建て替えは、区分所有者の5分の4の賛成が必要となるため、戸数が少ない方が意思疎通が図りやすく、建て替えしやすい傾向にあります。

マンションは将来的に建て替えできなかった場合、どんどん老朽化していくので売却することも難しくなります。

建て替えできない・売れないで、どうにもならなくなった事例もありますので、注意が必要です。

>>売れない家・マンションはどうなる?不動産営業マンが見た、売れ残った物件が辿る道

マンション建て替えの条件は、今後変わる可能性も?

2022年9月現在、分譲マンションを建て替えるためには、区分所有者及び議決権の5分の4の賛成が必要になります(建物の区分所有等に関する法律 第62条)。

しかし、5分の4の賛成を条件とすると、反対する人以外に高齢化などにより所有者が不明になるケースがあり、建て替えに関する合意形成が困難な場合があります。

こういったことを国も問題視しており、建て替え条件の緩和について、法制審議会で話し合うことになりました。

案としては、建て替えするのに必要な賛成数を、現行の5分の4から、4分の3や3分の2に緩和するという意見や、耐震性の低い建物では条件を緩くするなどの意見があるようです。

今後実際にどうなるかは、現時点ではわかりませんが、法改正される方向で決まった場合、数年後に分譲マンションを建て替えやすくなります。

状況が進展したら、追記していきたいと思います。

まとめ

< 建て替え件数 >

日本では、令和2年4月時点でマンションが建て替えられた件数は、295件しかない。

建て替え件数は徐々に増えてはいるものの、増加数は一定で、老朽化したマンションが急速に増えている割りには、建て替えは増えていない。

< 建て替えられた割合 >

築40年以上のマンション数は約1.4万あるが、実際に建て替えられた件数はそれに対して2%程度しかない。

建て替え件数に対する、地域の割合は、関東が7割、近畿が2割となっている。

< 建て替えられたマンションの築年数 >

東京都で建て替えられたマンションの8割は、築31~50年以内

築50年以上経過して、建て替えに至ったマンションは14%しかない。

< 建て替えられる可能性が高いマンションの特徴 >

居住ニーズが高く、デベロッパーにとって事業採算性が高い立地にある。

特に東京都心6区のマンションは、他の場所に比べて可能性が高い。

東京で建て替えられたマンションは、90%以上が建て替え前より戸数が増加しており、建て替え後に戸数を増やせることが、建て替えできるマンションの条件一つと言っても過言ではない。


今回の調査結果をみると、東京都心でもない限りマンションを購入するなら、将来的に買い替えることを前提としたほうがいいと思います。

買い替えるということは、将来的に高く売れそうなマンションを購入するのが重要です。

東京23区の資産価値について、解説している記事もありますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

>>【東京23区不動産 資産価値ランキング】マンション・戸建ての資産価値が落ちない街はここだ!

>>横浜、川崎でマンション・戸建ての資産価値が落ちない場所はここだ!

リノベーションマンションなど、古いマンションの購入を検討している方は、建て替えられる可能性が高いマンションを選ぶことが重要でしょう。

建て替えた際に戸数が増やせそうなのか、管理組合の議事録などで建て替えに関する話しがでているのか、これらについて購入前に確認することをおすすめします。

現状では、マンションの建て替えは厳しい状況ですが、今後法整備などがより一層進むことで、件数が増える可能性もありますので、そこに期待したいと思います。

今回は古いマンションは建て替えできるのか?という観点で調査しましたが、古いマンションのメリット・デメリットについて解説した記事もありますので、興味のある方はご覧ください。

古いマンションを購入する4つのメリットと13のデメリット、注意点を解説

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