自宅や、購入しようとしている家の前面道路が、2項道路なのでセットバックが必要。
駐車場の広さがギリギリで、車を駐車するとセットバック部分にはみ出る。
このような状況で、駐車場として車庫証明は取れるのか?
道路が狭い地域では、上記のようなことはよく起きます。何を隠そう、私の家がそうですから!
今回は、自身の体験談も含めて、車を駐車するとき車がセットバック部分まではみ出るとき、駐車場として車庫証明を取得できるのか解説します。
結論としては、セットバック部分は自身の所有する土地であっても、車庫証明を取得する際の駐車スペースとしては認められないため、車庫証明は取得できません!
2項道路のセットバックとは
道路が狭い場所に一戸建てを購入しようとすると、不動産会社が契約前の重要事項の説明の際に、前面道路は2項道路です!と説明されることがあります。
2項道路とは、とても簡単に説明すると道路の幅が4mに満たない道路のことをいいます。
このような道路は、地震で建物が倒壊した場合や、火災が発生した場合に、消防車や救急車などの緊急車両が入ってくることができずに、救助や消火活動ができない可能性があります。
そのようなことが無いように法律で、建物を新築する際は、道路の中心線から2m下がった部分までを道路状にし、建物や塀などを建ててはいけないことになっています。
道路を挟んで両側の家が建て替えると、道路の幅が4mになります。
この道路の中心線から2m下がることを、セットバック(道路後退)といいます。
例えば家の前の道路の幅が、3mしかない場合は、自宅を建て替える場合や新築する際、自分の敷地の道路から50cmまでの部分をセットバックして、道路状にしなければいけません。
この道路状にした部分を、セットバック部分や道路後退部分と呼んだりします。
道路状といっても、アスファルトで舗装して完全に道路そっくりにしなければいけない訳ではなく、平らで車両が通行できる状態になっていれば問題ありません。
車を買い替えようと思ったら、車庫証明が取れず購入キャンセルになった話し
敷地や車庫の奥行きが狭い場合、車の大きさによっては、駐車するとセットバック部分に車がはみ出てしまう場合があります。
恥ずかしい話し、わが家が正にこの状態です。
ある日、車が古くなってきたので、車を買い替えよう!という話しになり、車屋さんに車を買いに行きました。
私はよく旅行で遠出をするし、荷物も沢山積むので、ある程度大きい車が欲しかったので、全長約4.5mくらいの車を購入しました。ちなみに自宅の車庫も、セットバック部分を含めて約4.6mくらいしかありません。
そしてこの時、私はセットバック部分は自分の土地なのだから、車庫証明は取れると思っていました…これが悲劇の始まりです。
手付金として車屋さんに10万円払い、いつも車庫証明の申請は自分でやって節約しているので、今回も車屋さんに頼まず自分で車庫証明の申請をしました。
車庫証明の申請は、駐車する場所を管轄する警察署に申請します。
申請用紙には、駐車場の住所の他に、車庫証明を取得する車の長さ・幅・高さ、駐車スペースの幅や長さ、位置、前面道路の幅などを記載しなければいけません。詳しくは、警視庁のホームページをご覧ください。
つまり、車庫の長さ・車の長さ・前面道路の幅(セットバックが必要か、セットバック部分が存在しているのか)が、この申請書で警察署にはわかってしまいます。
何も知らない私は、申請書を記載し警察署の担当部署の書類を申請しました。すると窓口で担当者の方が書類を見るなり、『これはまずいなぁ…』とボソッと言ったのです!
一応警察署の担当者は、申請書を受理し、後日車庫や道路の状況を見に来るとのことで、その日は終わりました。
後日自宅に警察署の方が訪れ、実際に車庫や前面道路を見たのですが、その場で『セットバック部分は、駐車場としてのスペースに含むことはできません。申請書のお車を駐車した場合、セットバック部分に10cmほど車がはみ出ることになるので、車庫証明は出せません!』と言われてしまったのです!
近くの月極駐車場を借りて車庫証明を取得するという方法もあるのですが、自宅に車庫があるのに月極駐車場を借りるのは馬鹿らしいこと、月極駐車場を借りて車庫証明を取得したら、すぐに解約するという方法もありますが、車庫飛ばしという違法行為になるので、選択肢として論外だったので、私はその車の購入をあきらめることにしました。
車屋さんにもことの経緯を説明して、契約はキャンセルにしてもらい、手付金を返してもらうことになりました…
まとめ
車庫証明を取得するとき、駐車スペースにセットバック部分がある場合は、車庫証明は取得できません!
車庫証明を取得するには、車をサイズの小さいものに変更するか、別の駐車場を借りるしかありません。
家を購入しようとしている方や、戸建ての販売をする不動産会社の営業の方は、物件の前面道路が2項道路でセットバックが必要な場合や、既にセットバックしている場合は十分に注意して下さい。購入または販売後に、車庫証明が取れなかったなんてことになったら、どんでもないことになりかねません。
セットバックに限らず、家を購入する際、前面道路がどのような状態なのかは非常に重要です。前面道路の重要性やチャックポイントについて、以下の記事で解説しています。