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土地活用で地下室のあるアパート・マンション・ビルを建てるメリット・デメリット

地下室の建設現場

土地活用や不動産投資で、アパートやマンション、ビルなどを建てる際に、地下室を作るかどうか迷う方もいるかもしれません。

そこで、実際に地下室のある賃貸物件を建設して賃料収入を得ている筆者が、土地活用や賃貸物件に地下室を作るメリット・デメリットをご紹介します。

これから自分の土地や買った土地に建物を建てようと計画している方には参考になると思いますので、是非ご覧ください。

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賃貸物件に地下室を作るメリット

アパートやマンション、テナントビルなどを建てる際に地下室を作るメリットは以下の3つです。

・収益性を向上させることができる

・建物の価値が上がるので物件を高く売ることができる

・テナントビルの場合は空室が埋まりやすい

メリット1,収益性を向上させることができる

賃貸物件に地下室を作るメリットは、物件の収益性を向上させることができるところです。

まず、賃貸需要のある市街地では、都市計画というもので場所によって建てられる建物の大きさがある程度決まっています。

特に大きく関係するのが、【容積率】です。

その土地に建てられる建物の延べ床面積を制限するもので、例えば容積率が200%の土地には、その土地の面積の200%(2倍)の延べ床面積の建物しか、基本的に建てることができません。

しかし、地下室は延べ床面積の3分の1までの面積なら容積率の計算から除外されます。

どういうことかと言うと、容積率200%の50坪の土地があった場合、本来であれば50×2で延べ床面積100坪のアパートやマンションしか建てることができませんが、地下室を作る場合は延床面積150坪の建物を建てることが可能になります。

これは建築基準法第52条第3項に明記された、合法的なスキームです(テナントビルなど商業物件は適用外)。

ちなみに地下室といっても、完全に地面の下にある必要はなく、地面から1mまでは地上にあってもいいので、半地下のような窓のある部屋でもこのスキームは可能です。

単純計算にはなりますが、土地に坪1万円で貸せる賃貸物件を建てることを想定すると、

・地下室を作らない場合

延べ床面積100坪 × 1万円 = 月額賃料100万円の物件が建ちます。

・地下室を作る場合

延べ床面積150坪 × 1万円 = 月額賃料150万円の物件を建てることができます。

厳密に言うと、アパートやマンションの場合、地価にある部屋の賃料は日当たりや風通しが悪いので、家賃が少し下がってしまいますが、考え方としてはこのようなメリットがあります。

つまり地下室をつくることで、貸せる面積が増えるので、より多く家賃を貰うことができるようになります。

また、容積率や建ぺい率、斜線制限など、建築制限が厳しい土地になるべく広い賃貸物件を建てて収益性を向上させたい!という方には、以下の記事もおすすめです。

>>容積率、建ぺい率を増やして狭い土地でも広い家を建てる方法!建築制限緩和の特例を解説

メリット2,建物の価値が上がるので物件を高く売ることができる

そして、賃貸物件はどれだけ賃料が多く貰えるかで価値が決まります。

先ほどの例で言うと、地下室を作らない場合の物件の年間賃料は1,200万円、地下室を作った場合の年間賃料は1,800万円になります。

この物件が表面利回り5%で取引されると、物件の取引価格は以下のようになります。

・地下室を作らない場合

建物の取引価格は、1,200万円 ÷ 0.05 = 2億4,000万円

・地下室を作る場合

建物の取引価格は、1,800万円 ÷ 0.05 = 3億6,000万円

なんと、たった50坪面積が違うだけで、1億2,000万円も高く売れる物件になるのです!

地下室を作るのは、土を掘って捨てたり、コンクリートで部屋を作る必要があるので、地上に同じ広さの部屋を作るより建築費は高くなってしまいますが、50坪の地下室をつくるのに1億2,000万円もかかりませんので、地下室の建設費がかかったとしても作る方がお得なのです。

ただし、上記例は坪1万円で貸せることと、表面利回り5%で売買される立地にある物件という想定ですので、もっと賃料が低い場合や、表面利回りがもっと高くないと売れない立地の場合は、地下室を作る方が損になる場合もありますので、注意が必要です。

メリット3,テナントビルの場合は空室が埋まりやすい

店舗が入居するテナントビルの場合、1階が一番人気が高く、次いで2階、その次に人気があるのが地下1階になります。

隠れ家のようなコンセプトの飲食店や、ダンス教室のような足音が響いてしまう可能性のあるテナントの場合、1階や2階ではなく、あえて地下の部屋を借りたがる場合もあります。

アパートやマンションなど居住用の物件だと1階や地下は若干人気が落ちてしまうのですが、テナントビルの場合はこういった理由から、地下室であっても空室が埋まりやすいというメリットがあります。

>>テナントビル投資のメリット・デメリット 不動産投資でビル経営は儲かるのか?

賃貸物件に地下室を作るデメリット

アパートやマンション、テナントビルなどを建てる際に地下室を作るデメリットは以下の3つです。

・建設費が高くなる

・建物の維持費が高くなる

・アパートやマンションの場合、空室が埋まりづらい

それぞれ解説します。

デメリット1,建設費が高くなる

当たり前ですが、地下室を作る場合、作らなかった場合に比べて建築費が高くなります。

しかも地下室は、地上に同じ大きさの部屋を作るより建築費が割高になってしまいます。土を掘って捨てる作業費や処分費がかかったり、排水用のポンプを設置したりする必要があるからです。

また、建設費が高くなるということは、銀行借入を利用して建物を建てる場合、借金の額も必然的に増えることになります。

地主が土地活用でアパートやマンションを建設するとしても、あまりに頭金が少ない場合や、他の資産もあまり持っていない、収入が低い場合などは、土地持ちであっても建設費が高くなることによって融資を受けるのが難しくなる可能性があります。

その他、地方など賃貸需要が少なく収益性の低い立地の場合、地下室を作るコスト>収益性 になってしまい、地下室を作らない方がお得な場合があります。

デメリット2,建物の維持費が高くなる

地下室を作ると、建物の延べ床面積が大きくなり設備なども増えるので、固定資産税・都市計画税の計算の元となる固定資産税評価額というのも高くなります。

簡単に言うと、払わなければならない固定資産税や都市計画税が増えます

その他、地下室を作る場合、室内で使った下水や雨水などを排水するために、ポンプを設置する必要があります。

この排水ポンプ、一度設置したら何十年もメンテナンスフリーで使えるというものではなく、定期的に分解清掃をしなければなりませんし、長くても10年に1階くらいは交換する必要があります。

また、入居者やテナントが変なものを下水に流すと、それが排水ポンプに詰まってしまうことも珍しくありません。

なので、ポンプの整備費や交換費、突発的な修理費なども覚悟しなければなりません

デメリット3,アパートやマンションの場合、空室が埋まりづらい

地下室はテナントビルの場合は、比較的埋まりやすいのですが、アパートやマンションなどの住居系物件の場合は、日当たりや風通しが悪いので逆に人気がありません

都市部の駅近くなど、賃貸需要のある立地の物件であれば問題ありませんが、賃貸需要の少ない場所では、せっかく高い建築費をかけて建てても借りてくれる人が見つからない…なんてことになりかねません。

やみくもに地下室を作るのではなく、賃貸需要や収益性などを地元の不動産屋などに聞いて調査し、地下室を作るかどうか決めましょう。

どんな物件・立地なら地下室を作るのがおすすめ?

結局、地下室をつくるべきかどうかわからないという方のために、地下室を作った方がいいパターンを解説します。

・家賃が高いけど、容積率が低いエリアにある土地

・店舗として需要がある大通り沿いや商店街、駅近の土地

・斜面にある土地

それぞれ解説します。

家賃が高いけど、容積率が低いエリアにある土地

家賃が高く、入居が見込める立地であれば、延べ床面積をできるだけ大きくした方が利益がでます。

また、その効果は容積率が低い土地ほど大きくなります。

判断基準としては、地下室を作った場合と作らなかった場合の建設費と、賃料を調べて比べましょう。

賃料水準が高く入居も見込める立地では、地下室をつくることをおすすめします。

店舗として需要がある大通り沿いや商店街、駅近の土地

メリットで解説しましたが、地下室は住居よりも店舗の方が需要があります。

なので、人通りの多い大きな通りや商店街に面している土地や駅近の土地なら、地下1階や地上1階~2階くらいを店舗にして、それ以上高く建物を建てられる場合は上の方を住居にするのが、収益性や空室率の低下に役立ちます。

斜面にある土地

斜面にある土地は、平坦な土地に地下室を作るより建築費が割安になる場合がある他、道路から建物へアプローチしやすくなる、地下という扱いなのに日当たりが悪くない部屋を作れることがあるなど、地下室を作るのに相性がいい土地です。

建設予定地が高低差のある土地の場合、積極的に地下室をつくる検討をしてみましょう。

賃貸物件に地下室を作らない方がいいパターン

逆に、地下室を作らない方がいいパターンも解説します。

・賃貸需要が少なく、家賃も低いエリアにある土地

・狭い土地

それぞれ解説します。

賃貸需要が少なく、家賃も低いエリアにある土地

地下室を作っても入居が見込めない場所や、家賃水準がかなり低い場所にある土地の場合、わざわざ高いお金をかけて地下室を作っても、収益が見込めないどころか赤字になる可能性があります。

地下室を作った場合と作らなかった場合の建設費と、見込める家賃、空室が埋まるかどうかをしっかりと調査し、採算性が見込めないなら地下室は作らない方がいいでしょう。

狭い土地

地下室は、土を掘って崩れてこないように土留めし、内側にコンクリートの壁を作って建設します。

また、地下室と地上へは階段などの通路を設けなければなりませんし、半地下にしない場合はドライエリアという空堀の空間をつくる必要があります。

このようなことから、狭い土地に地下室を作っても使い物にならなかったり、全体的に一回り建物が小さくなる可能性があります。

そうなると家賃総額は増えても、地下室の建設費や、1階や2階など地上部分の面積が減ることにより、採算性が悪くなり、利益は同じかむしろ減ったなんてことが起こりえますので、あまり狭い土地に地下室を作るのはおすすめしません。

判断基準としては、土地面積が15坪以下程度であれば作らない方がいい可能性が高いです。

まとめ

賃貸物件に地下室を作るメリット

・収益性を向上させることができる

・建物の価値が上がるので物件を高く売ることができる

・テナントビルの場合は空室が埋まりやすい

賃貸物件に地下室を作るデメリット

・建設費が高くなる

・建物の維持費が高くなる

・アパートやマンションの場合、空室が埋まりづらい

地下室を作った方がいいパターン

・家賃が高いけど、容積率が低いエリアにある土地

・店舗として需要がある大通り沿いや商店街、駅近の土地

・斜面にある土地

地下室を作らない方がいいパターン

・賃貸需要が少なく、家賃も低いエリアにある土地

・狭い土地

地下室はうまく利用すれば、収益性を大幅に向上させることができます!

今回は、賃貸物件の地下室について解説しましたが、他にも不動産投資に役立ち記事がありますので、興味のある方はご覧ください。

>>不動産投資のリスクは何がある?リスクの種類とリスク回避方法について解説

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