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絶対に知っておきたい!不動産投資の利益とキャッシュフロー(CF)の違い

・不動産投資のキャッシュフローって何?

・利益とキャッシュフローの違いがよくわからない

・確定申告では利益が出ていることになっているのにお金がない

・お金は特に減ってないけど確定申告では赤字になっている

そんな方のために、不動産投資における利益とキャッシュフローの違いを、金融機関や不動産会社で働いた後、不動産投資会社を経営している筆者が解説します。

不動産投資では利益はもちろん、キャッシュフローも非常に重要ですので、これらの違いや仕組みをちゃんと理解していないと、買ってはいけない物件を購入してしまって大失敗する可能性があります。

悪質な投資用不動産販売会社は、利益とキャッシュフローのことをよくわかっていないことを利用して、巧みな話術で投資用物件を売りつけてきます。

不動産投資に興味があってやってみたいと思っている方、不動産屋に騙されたくない方、既に不動産投資をしているけど儲かっていないという方は必見です。

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不動産投資のキャッシュフローとは?

キャッシュフローとは、現金の増減のことをいいます。

不動産投資では、様々な取引を行いますが、キャッシュフローの動きとしては以下のようになります。

・キャッシュフローがプラス(増加)になる取引

家賃の入金・礼金の入金・敷金や保証金の入金・更新料の入金・銀行融資・預金の利息

・キャッシュフローがマイナス(減少)になる取引

物件の購入・リフォームなど修繕費の支払い・管理費の支払い・税金の支払い・水道光熱費の支払い・銀行借入の返済

不動産投資をしているときのキャッシュフローの流れ

では、不動産投資をすると実際のキャッシュフローの流れはどのようになるのか、ワンルームの区分マンションの購入を想定して解説したいと思います。

物件価格2,000万円 購入資金(自己資金300万円 借入1,700万円)

月の家賃 8.5万円(年102万円) 管理費5% 銀行借入の返済5.8万円(年69.6万円)

※キャッシュフローの流れがわかりやすいように、細かい費用は省いています。

投資用物件購入時のキャッシュフローの流れ

物件を購入する際は、自己資金300万円を用意し、それに加えて銀行借入1,700万円を借ります。

キャッシュフロー +300万円(自己資金)+1,700万円(銀行借入)=+2,000万円(合計)

続いて、物件の購入資金を払います(購入時諸費用はわかりやすくするため省いています)

キャッシュフロー ー2,000万円(物件購入代金)

物件購入完了時点でキャッシュフローは、±0円となっています。

投資用物件を購入した後のキャッシュフローの流れ

続いて購入後の月々のキャッシュフローの流れをみていきます。

まずは家賃の入金があります。

キャッシュフロー +85,000(家賃)

管理費の支払いや銀行借入の返済をします。

キャッシュフロー -4,250円(管理費)ー58,000円(借入金返済)=ー62,250円(合計)

差し引き 85,000円-62,250円 = +22,750

もし空室が発生したら、この物件はワンルーム区分マンションなので家賃が0円になり、月々のキャッシュフローは62,250円のマイナスになってしまいます。

※多くの人は、上の例の差し引きで残った22,750円を利益だと勘違いしていますが、毎月残った金額=利益ではありません。

次に同じ物件例で利益を計算するとどうなるのか、解説したいと思います。

不動産投資の利益とは?

利益とは、売上から費用を差し引いて残ったものです。キャッシュフローではなく利益をもとに所得税や法人税などは計算されます。

ここが重要なポイントですが、キャッシュフローがプラス=売上ではありませんし、キャッシュフローがマイナス=費用ではありません。

キャッシュフローがプラスでも売上にならないものもあるし、キャッシュフローがマイナスなのに費用にならないものもあります。

さらに言うと、キャッシュフローは全く変化していないのに、費用になるものもあるんです。

不動産投資で行う取引が、売上や費用にどのように分類されるかは、以下になります。

・売上になる取引

家賃の入金・礼金の入金・更新料の入金・預金の受取利息

・費用になる取引

管理費の支払い・銀行借入の支払利息・税金の支払い・30万円未満の備品や設備の購入・原状回復するための修繕費(リフォーム費用)・建物や設備の減価償却費

・売上にも費用にもならない取引

銀行融資の入金・銀行借入返済の元本部分・物件の購入費の支払い・物件の増築や価値を高めるための建設費や設備費・30万円以上の備品や設備の購入

さきほどのキャッシュフローがプラスやマイナスになる取引と、売上や費用になる取引は、似ている部分があっても大分違うことがパッと見ただけで感じて頂けると思います。

ちなみに、キャッシュフローは全く変化していないのに費用になるものとは、建物や設備の減価償却費のことを指します。

減価償却費とは?

減価償却費とは、建物や設備の経年劣化(価値の減少分)を費用として計上するものです。

車で例えると、車は新車登録から月日が経過すると中古車としての価値がどんどん下がっていきます。長いこと使い続けて利用できなくなると、価値が0円になり廃車することになります。

この年々安くなっていく価値の減少分を、税法という法律で決められている法定耐用年数というのに合わせて費用化していくことが、減価償却費となります。

実際には、車は人気車種ですと、新車から10年以上経過していてもけっこうな値段で売れることもありますが、そういった個別事情を考慮すると税金の徴収が煩雑化してしまうので、車は何年、建物は何年などと、法定耐用年数(償却期間)が決められています。

ちなみに、不動産投資で購入する建物や設備の耐用年数は以下になります。

新築物件の耐用年数

・建物(アパートやマンションなどの住居)

鉄筋コンクリート造 47年

重量鉄骨造(厚さ4mm超) 35年

軽量鉄骨造(厚さ3mm以下) 22年 

木造 22年

・設備(電気や排水、ガスなど) 15年

中古の建物等の耐用年数

・耐用年数の全部の期間を経過したもの

法定耐用年数 × 20%

・耐用年数の一部期間を経過したもの

法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数×20%

ちなみに不動産には土地がありますが、土地は経年劣化という概念がないので、減価償却はしません。

減価償却費は、費用として計上されますが、現金の支出を伴いません。

不動産投資の損益の計算事例

不動産投資をしているときのキャッシュフローの流れで出てきた事例をもとに、利益を計算するとどうなるのか見ていきたいと思います。

物件価格2,000万円 購入資金(自己資金300万円 借入1,700万円)

月の家賃 85,000円(年102万円) 管理費5% 

銀行借入の返済 58,000円(元本返済 38,000円、利息 20,000円)

毎月の減価償却費 33,000円

利益を計算するには、銀行借入返済の内訳(元本と利息)と減価償却費がいくらになるのかが必要なので、追加しています。

投資用物件購入時の損益

物件を購入する際は、自己資金300万円を用意し、それに加えて銀行借入1,700万円を借ります。

銀行借入は、借金(負債)が増えるだけですので、売上にも費用にも形状されません。

続いて、物件の購入資金を払います(購入時諸費用はわかりやすくするため省いています)

物件購入費として2,000万円払っていますが、物件の購入は費用ではなく、現金という資産が建物や土地という資産に変化しただけなので、売上にも費用にも形状されません。

なので、物件購入時は損益に関する動きはありません。

※ここでは話をわかりやすくするため、購入時の諸費用を省いていますが、厳密には諸費用には費用となるものと、不動産同様に資産となるものがあります。今回はキャッシュフローと利益の違いを解説するため、省きます。

投資用物件を購入した後の損益

続いて購入後の月々の損益をみていきます。

まずは家賃の入金があります。これは売上になります。

売上 +85,000(家賃)

管理費の支払いや銀行借入の返済をします。このとき、管理費は全額費用になりますが、銀行借入は利息の返済分のみ費用となります。

費用 -4,250円(管理費)ー20,000円(支払利息)=ー22,250円(合計)

そして現金の支払いはないものの、ここから減価償却費を費用計上します。

費用 -33,000円(減価償却費)

差し引き +85,000円 -55,250円 = +29,750円(利益)

細かい費用などは省いていますが、この物件の投資では、毎月29,750円の利益が出てることがわかります。

最終的には、この利益(年間約35万円)に対して、所得税または法人税がかかってきます。

所得税は累進課税制度といって、所得が多い人ほど税率が上がる仕組みになっているので、注意が必要です。

不動産投資のキャッシュフロー(CF)と利益の違い

では、話しを整理して、不動産投資のキャッシュフロー(CF)と利益の違いを見ていきましょう。

先ほど計算した事例では、

・キャッシュフロー

月22,750円 年間273,000円

・利益

月29,750円 年間357,000円

その差は、月7,000円 年間84,000円にもなっています。

どこでこの差が生まれるかと言うと、以下の2点が大きく関係しています。

・借入金の返済

キャッシュフローは、利息と元本合わせた合計がマイナスになる

利益の計算では、元本返済分は費用にならない利息分のみが費用になる

・減価償却費

キャッシュフローに、減価償却費は直接的には関係しない

利益の計算では、減価償却費を費用として差し引く

キャッシュフローはマイナスだけど、利益の計算ではマイナスにならない銀行借入の元本と、キャッシュフローには直接影響しないが利益には影響する減価償却費が、キャッシュフローと利益の差を生み出します。

先ほどの事例で、住民税・所得税の税率が30%の人が税金を払うと、最終的なキャッシュフローと利益は以下のようになります。

まず税金はキャッシュフローではなく、利益をもとに計算しますので、税金の支払い額は

利益357,000円 × 30% =107,100円(税金)になります。

つまり、最終的な利益は357,000円-107,100円 = 249,900円になります。

キャッシュフローについては、年間273,000円 - 税金107,100円 = 165,900円です。

これはあくまで例ですが、自己資金300万円、借金1,700万円で2,000万円の物件を購入して、最終的な手残りは約16万円しかありません。

投資額に対して手元に残ったお金は、1%未満です……

2,000万円の物件で、年間の賃料が102万円ですので、表面利回りは5.1%ですが手残りだとこんなものです。

今回の例では、ずっと満室が続く想定で、購入時の諸費用や固定資産税、修繕費などを省いて計算してこれですので、実際に購入した場合は、もっと収益性が低くなる可能性が高いです。

ただし、これはあくまで1年間のキャッシュフローと、会計上の利益に過ぎませんので、不動産投資の本当の利益ではありません。

不動産投資の本当の利益については、後ほど解説します。

不動産投資で黒字なのに、キャッシュフローがマイナスになる条件

不動産投資をすると、会計上は黒字(儲かっている)なのに、キャッシュフローがマイナスになることが良くあります。

どういった場合に、このような状態になりやすいか解説します。

黒字なのに、キャッシュフローがマイナスになるのは以下のような場合です。複数に該当するほど、起きやすくなります。

・投資物件の利回りが低い

・購入時の自己資金が少ない

・返済期間が短い

・減価償却費が少ない物件

不動産投資で一番お金が出ていくのは、ほとんどの場合借入金の返済です。

月々の借入金の返済額が多ければ多いほど、キャッシュフローはマイナスになりやすいです。

自己資金が少なく借入金の割合が高い場合や、返済期間が短い場合は、月々の返済額が大きくなってしまいます。

また、利回りが低い物件はそれだけキャッシュフローのプラス要因が少ないということになります。

土地の割合が多い物件や、減価償却が終わってしまった物件などは、減価償却費があまりとれませんので、会計上は黒字になりやすく、キャッシュフローがマイナスでも税金を払う羽目になってしまうことがあります。

不動産投資で黒字なのに、キャッシュフローがマイナスになる例

先ほどから解説しているキャッシュフローや利益の例では借入期間30年、金利1.5%で計算していたのですが、これを自己資金0円、借入期間を20年に短縮するとどうなるか計算してみると、以下のようになります。

<キャッシュフロー>

+85,000円(家賃)-4,250円(管理費)ー96,500円(借入金返済)=ー15,750円(合計)

<損益>

+85,000円(家賃)-4,250円(管理費)ー25,000円(支払利息)ー33,000円(減価償却費)

+22,750(合計)

支払利息と借入金の元本返済が増えた影響で、損益は黒字ですが、キャッシュフローがマイナスになっています。

ちなみに、損益が黒字なのでここからさらに税金が引かれます。

キャッシュフローがマイナスということは、毎月お金が減っていく状態なので非常に危険です。物件を売却して借金を完済できればいいですが、できない場合は自己破産の危険性もありますので、注意が必要です。

不動産投資をする際には、上の4項目の逆の状態を心がけましょう。

収益性の高い物件を選ぶのはもちろん、月々の返済がある程度楽なように、頭金を用意し、返済期間も長めにすることをおすすめします。

不動産投資で赤字なのに、キャッシュフローがプラスになる条件

今度は逆に会計上は赤字なのに、キャッシュフローがプラスになるパターンを解説します。

このパターンはそれほど問題がない場合と、問題がある場合の2パターンあるので、見極めが大事です。

まず、どんなときに会計上は赤字なのに、キャッシュフローがプラスになるかというと、以下のような状況です。

・減価償却が多くとれる物件(建物割合が多い、償却期間が短い)

・借入金の返済額に占める利息の割合が高い

・借入金の返済期間が長くて月々の返済額が少ない

・赤字で他の所得を相殺して、税金の還付を受ける

まず、不動産価格に占める建物の割合が多い物件や、償却期間が経過した木造アパートなどは、減価償却費を多く計上することができます。

減価償却費はキャッシュフローに直接的に影響を与えない費用ですので、キャッシュフローはマイナスになりませんが、会計上は赤字になりやすいです。

また、返済期間を長くすると月々の返済額が減る代わりに、返済額に占める利息の割合が高まりますので、高金利ので融資を受けている場合、キャッシュフローはプラスでも損益は赤字になりやすいです。

不動産投資で赤字なのに、キャッシュフローがプラスになる例

今度は、今までの計算例の物件が、築古の木造物件で、家賃が5,000円少なく、減価償却も2倍取れる想定で計算してみます。

<キャッシュフロー>

+80,000円(家賃)-4,000円(管理費)ー58,000円(借入金返済)=+28,000円(合計)

<損益>

+80,000円(家賃)-4,000円(管理費)ー20,000円(支払利息)ー66,000円(減価償却費)

-10,000(合計)

キャッシュフローはプラスでも損益は赤字に転落しました。この場合サラリーマン投資家など、給与所得がある方は、これにプラスして税金の還付を受けることも可能になりますので、キャッシュフローはもっと良くなります。

この状況は、会計上の利益は赤字ですが、キャッシュフローはプラスなので問題がない可能性が高いです。

不動産投資の本当の利益(儲け)がいくらになるのかは、物件を売ってみないとわからない!

最後に、さらにややこしい話しをしてしまうのですが、非常に重要な内容ですので是非お付き合いください。

ここまで読んで頂いた方には、キャッシュフローと利益の違いがある程度わかって頂けたのではないかと思いますが、実際に不動産投資をしてどれくらい利益が出たかは、最終的に物件を売って投資を終わらせるまでわかりません!

なぜなら、投資期間中にキャッシュフローや利益が出ていたとしても、売却したときに大幅に安い金額でしか売れなかったら、損することもあるからです。

逆に言うと、投資期間中にキャッシュフローや利益がマイナスでも、最終的に買った時より大幅に高く売れたら、投資としては利益がでて成功する場合もあります。

つまり、不動産投資の利益というのは

賃貸期間中の損益の合計 + 売却時の損益 = 不動産投資の利益 になるのです。

投資期間中は、機械的に法定耐用年数に合わせて減価償却しますが、実際の不動産価格は同じように変化するとは限りません。

価値が値上がりしたり変化しないこともあれば、減価償却費以上に値下がりすることもあります。

会計上の利益を見て安心するのではなく、自分が投資している物件が現在どれくらいの価値があるのか(市場でいくらで売れるのか)を常に意識することが重要です。

不動産価格が値上がりする局面では、多少問題のある物件を購入してもなんとかなりますが、値下がりする局面ではそういった物件を購入すると、取り返しのつかないことになる可能性があります。

不動産投資初心者が物件を購入するときに、絶対に守って欲しいこと

今までの内容を踏まえて、これから不動産投資をやろうと思っている方に絶対に守って欲しいことをお伝えして、終わりたいと思います。

それは、キャッシュフローがプラスになる物件を購入することです!

キャッシュフローがプラスの物件であれば、万が一不動産価格が下がってもそのまま所有し続ければ、大きな問題にはなりません。

毎月お金が増えていくので、資金繰りも安定します。

それに対して、キャッシュフローがマイナスの物件を買ってしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。

毎月お金が減っていくので、資金繰りが厳しい状態が続きますし、物件価格が下がったら売却して投資を手じまいすることもできません。最悪の場合、自己破産することになります。

ここ10年程は、不動産価格が上昇傾向にありましたが、今後は金利の上昇により不動産価格が下がってしまう可能性もありますので、注意が必要です。7

今から不動産投資をするのは危険⁉金利上昇と不動産価格の関係

キャッシュフローをプラスにするには、以下が重要です。

・収益性の高い物件を購入すること

・空室が埋まる賃貸需要の強いエリアの物件を購入すること

・銀行融資の返済期間はなるべく長く組むこと

・キャッシュフローがある程度余裕がある水準になるくらい自己資金を入れること

返済期間については、新築など築年数の新しめの物件の方が、返済期間を長くすることができます。

まとめ

不動産投資のキャッシュフローと利益は違います。

キャッシュフローとは、現金の増減のことをいいます。

利益とは、売上から費用を差し引いて残ったものです。税金はキャッシュフローではなく利益をもとに計算されます。

不動産投資で行う取引では、キャッシュフローに影響しないけど損益に影響するものや、キャッシュフローに影響するけど損益には影響しないものがあります。

キャッシュフローがプラスじゃないと、どんどんお金が減っていき資金繰りが悪化しますので、投資用物件を購入するときは、必ずキャッシュフローがプラスになる物件を購入するようにしましょう。

今回は、不動産投資におけるキャッシュフローと利益の違いについて解説しましたが、当サイトでは他にも不動産投資に役立つ内容を発信していますので、興味のある方は是非ご覧下さい。

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