・マンション管理会社への就職・転職を考えている
・マンション管理会社の仕事内容や業界動向、年収について知りたい
そんな方のために、マンション管理会社の仕事内容と業界動向、年収、取得するべき資格について解説します。
マンション管理会社は、分譲マンションの管理や管理組合の運営をサポートするのが仕事です。
分譲マンションは解体されてなくなることがほとんどないので、ストック数は右肩上がりで増えており、今後も伸びていく業界だと予想されます。
マンション管理会社の仕事内容
分譲マンションの維持管理、運営には大きく分けて3つの方法があります。
1、全部委託方式
2、一部委託方式
3、自主管理
3の自主管理とは、マンションの区分所有者が自分達で維持管理、運営などを全て行う方法です。
それに対し、全部委託方式と一部委託方式は、マンション管理会社というマンション管理のノウハウが豊富なプロにお金を払って任せる方法です。
つまり、マンション管理会社はマンション所有者に代わって、マンションの維持管理、運営を行ったりサポートするのが仕事です。
マンション管理の主な仕事内容は、以下になります。
・管理組合理事会、総会運営のサポート
・設備の点検
・建物や設備の修繕
・管理人業務
・会計
・トラブル対応
・売買や引っ越しの対応
それぞれ解説します。
管理組合理事会、総会運営のサポート
マンションは多数の人が一つの建物に住んでいるため、マンションの運営や修繕などに関して重要なことを決める場合は、総会を開いて決めなければいけません。
総会のお知らせや準備、司会進行、議事録作成などの行います。
設備の点検
マンションには、エレベーターやオートロック、消防設備、マンションによっては機械式駐車場など様々な設備があり、突発的な故障や事故が行らないようにするために定期的に点検する必要があります。
管理会社は、点検の時期をしっかり管理し、点検業者の手配などをします。
建物や設備の修繕
マンションの建物や設備が破損した場合や、大規模修繕などの手配・対応なども仕事の一つです。
また、修繕計画の作成なども行います。
管理人業務
管理人は電灯やその他設備の点検や交換、巡回、入退去や点検修繕などの立会、共用部やゴミ置き場の清掃、共用施設利用などの受付、管理会社への報告などを行います。
管理人は正社員がやる場合もありますが、基本的には契約社員やパート・アルバイトの人にお願いします。
会計
管理費や修繕積立金の徴収・管理を行ったり、管理組合の収支状況を管理する帳簿を作成したりまします。
滞納者には、督促を行います。
トラブル対応
設備の故障など建物や設備のトラブル以外に、騒音やペット飼育の問題など、居住者同士のトラブルにも対応しなければなりません。
売買や引っ越しの対応
管理しているマンションの所有者がマンションを売却するとき、売却を依頼された不動産仲介会社または所有者から、重要事項調査報告書や管理規約、長期修繕計画書などの書類の提出を求められることがありますので、対応します。
また、引っ越す人には管理費や修繕費の口座引き落としの停止、新しく引っ越してくる人には集金できるよう対応します。
マンション管理会社は、マンションの維持管理、運営に関する何でも屋さんのような存在です。
担当者は、マンションの規模にもよるのですが10~20棟くらいを担当することが多いです。
マンション管理会社の仕事のやりがい・働きがい
マンション管理会社の仕事のやりがいや働きがいを感じたという意見としては、以下のようなものがあげられます。
管理しているマンションの住人、管理組合の方と仲良くなったり、感謝の言葉をもらえることがある。
一棟の巨大なマンションを一人で担当するので、裁量が大きい。
管理しているマンションで起きた問題を解決したときや、改善策を提案して採用されたとき。
マンション管理会社の仕事はきつい?
マンション管理業で日常的に行う、建物や設備の維持管理修繕、清掃、事務管理などの仕事は、それほど大変なものではありません。
一番大変なのは、区分所有者や管理組合のクレーム対応です。
クレームには騒音問題、ペット飼育、共用部の利用方法など入居者の問題の他、管理会社のサービスなどに関するものもあります。
入居者同士の問題に関しては、張り紙や注意などで解決できる場合もありますが、管理会社側で解決できない問題も多々あります。
その他、管理会社のフロントマンは休日出勤することがあることや、休日であっても担当するマンションの居住者から電話がかかってくるなど、ゆっくり休みづらい仕事ではあります。
マンション管理会社の業界動向
マンション管理会社の業界動向について解説します。
まず、マンション管理会社の仕事は、マンションの数に影響を受けますので、分譲マンション数がどのように変化しているのか見ていきます。
分譲マンション新しく建てられることはあっても、解体されてなくなることはほとんどないので、ストック数は右肩上がりで増えており、業界には追い風が吹き続けているような状態です。
また、大手マンション管理会社はグループ会社にマンション開発を行っている会社があることがほとんどで、独立系の会社はあまりありません。
グループ会社にマンション開発を行っている会社がある場合は、そこがマンションを新しく分譲する際には、基本的に管理を委託されるので、業界の競争はそこまで激しくありません。
マンション管理会社の数と大手
国土交通省によると、令和3年度末時点でマンション管理業者の登録数は1,934社となっています。
それなりに数が多く感じますが、宅地建物取引業者(不動産業免許取得会社)数の約11万社に比べると、圧倒的に数が少ない業界です。
業界大手のマンション管理会社をいくつか紹介します。
< マンション開発会社系マンション管理会社 >
< 独立系マンション管理会社 >
独立系のマンション管理会社は、グループ会社が新築したマンションの管理を自動的に任されるようなことはないので、新規でマンション管理を受託するための営業にも力を入れています。
マンション管理会社がグループ会社にいないデベロッパーと、業務提携や資本提携したり、新築時から管理をしているマンション管理会社に不満を持っている管理組合に対して、管理費のコスト削減やサービスの良さをウリに、独立系と言えども着実に管理戸数を増やしています。
マンション管理会社の平均年収
求人ボックス 給料ナビの公表しているデータによりますと、
マンション管理会社の平均年収は、約458万円です。
国税庁が公表している令和2年分民間給与実態統計調査によると、日本人の平均年収は433万円ですので、平均よりやや高い給与水準となっています。
次にご紹介する資格を取得すれば、もっと高い収入を得ることも可能です。
マンション管理会社に就職・転職するなら取得したい資格
マンション管理会社で働く場合、スキルアップや年収の向上に役立つ資格をご紹介します。
取得をおすすめする資格は以下の4つです。
・管理業務主任者
・マンション管理士
・宅地建物取引士
・日商簿記検定
それぞれ解説します。
管理業務主任者
【管理業務主任者】とは、マンション管理会社が管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格のことです。
以下4つの独占業務があります。
・管理受託契約に関する重要事項説明
・管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印
・管理受託契約書への記名・押印
・管理事務に関する報告
その他、マンション管理会社は管理を受託する管理組合の数に応じて、30管理組合ごとに1名以上の「管理業務主任者」を設置することが義務付けられています。
独占業務があり、管理数に応じて一定数必要となる資格なので、マンション管理会社で働く場合は、取得するよう言われる資格で、就職・転職する際は有利になるだけでなく、資格手当が月1~2万円ほどもらえることが多いです。
マンション管理会社で働くなら、必ず取得しておきたい資格です。
マンション管理士
【マンション管理士】とは、管理組合の運営やマンションの管理について、管理組合からの相談に応じ、助言や指導を行うマンション管理のスペシャリストです。
国家資格なのですが、独占業務がないため必ずしも必要とされる資格ではありません。
なので、資格手当についても独占業務のある管理業務主任者に比べて低い傾向にあります。
マンション管理会社に就職する場合は、多少有利に働きますし、マンションに関する知識がつくので取得して損するようなことはありませんが、あまりコスパの良い資格ではありません。
余裕があるなら取得しておきたい資格です。
宅地建物取引士
【宅地建物取引士】とは、不動産業の免許を取得する際や、不動産の取引をする際に必要となる国家資格です。
不動産の売買・賃貸契約などをする際に、以下3つの独占業務があります。
・重要事項説明
・重要事項説明書への記名・押印
・契約書への記名・押印
その他、不動産業の免許を受けるに当たり、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して、国土交通省令で定める数の専任の宅地建物取引士を置かなければなりません。
マンション管理会社は、不動産業の免許を取得する必要がないので、必ずしも宅建の資格を取得する必要はありません。
しかし、宅建は不動産業界で働いているなら必ず取得しておきたい資格で、不動産の基礎的な知識が身につくだけでなく、資格手当がでたり、就職・転職する際には有利になります。
宅建士の合格率は、平均すると16%ほどしかありませんが、しっかり勉強すれば誰でも合格できます。
合格率が低いのは、 毎年合格ラインが変動する相対評価を採用しているのが原因です。真面目にコツコツ勉強すれば3か月~半年ほどの勉強期間で合格可能です。
>>宅建は難しい!?宅建士試験の合格率が低い理由を、元不動産仲介会社の宅建合格者が解説!
>>宅建に受からないならこれを見ろ!合格のコツは、試験の特徴と出る問題を知ること
日商簿記検定
日商簿記検定とは、会計に関する資格で初級・3級・2級・1級があり、数字が小さくなるほど専門的で難しくなります。
商工会議所が行っている検定試験で、独占業務などはない公的資格です。
なぜ簿記?と思われる方もいるかもしれませんが、マンション管理会社は、管理組合のお金の出入りや、資産・負債の状況などの会計管理を行うのも仕事の一つです。
また、先ほど紹介した資格の管理業務主任者とマンション管理士は、試験科目に会計に関することがでてきますので、簿記の勉強をしておくと資格取得に役立ちます。
そこまで高度な会計知識は必要ないので、簿記3級を取得しておけば十分です。
マンション管理会社に就職・転職するのは難しい?
マンション管理会社への就職・転職はそれほど難しくありません。
持っていれば採用に有利になる資格はあるものの、絶対に持っていなければならないというものでもありません。
また、業界動向で解説したとおり日本のマンション数は増え続けており、その分人を常に採用して増やす必要がある業界だからです。
転職サイトを見てみればわかると思いますが、業界の大手企業であっても、【学歴不問・未経験者歓迎】と書かれた求人情報も珍しくありません。
就職・転職するのにおすすめのマンション管理会社
マンション管理会社に就職・転職するならどこがいいのか?
おすすめは、マンションデベロッパーがグループ会社にいる管理会社です。
理由としては、グループ会社がマンションを建てれば管理を任せてもらえるので安泰であることや、管理しているマンションの築年数が新しい方が、建物・設備の故障や、修繕金不足などのトラブルの発生が少ないからです。
基本的にマンションの管理は、新築時はデベロッパー系の管理会社が管理受託し、管理費の見直しやトラブル対応や建物・設備の修繕などで不満を買うと、独立系など他のマンション管理会社に委託先が変わります。
つまり、独立系の管理会社は、築年数が古くて建物や設備に問題でそうなマンションや、何かしらトラブルを抱えたりしているマンションの管理を受託することがデベロッパー系の管理会社に比べて多い傾向にあります。
マンション管理会社への転職をお考えの方には、以下の記事もおすすめです。
>>未経験で不動産業に転職したい方におすすめの転職エージェント型求人サイトをご紹介します!
まとめ
マンション管理の主な仕事内容
・管理組合理事会、総会運営のサポート
・設備の点検
・建物や設備の修繕
・管理人業務
・会計
・トラブル対応
・売買や引っ越しの対応
マンション管理会社の平均年収は、約458万円。
業界動向としては分譲マンション新しく建てられることはあっても、解体されてなくなることはほとんどないので、ストック数は右肩上がりで増えており、業界には追い風が吹き続けているような状態です。
その分人を常に採用して増やす必要がある業界なので、転職サイトでは、業界の大手企業であっても、【学歴不問・未経験者歓迎】と書かれた求人情報も珍しくありません。
マンション管理会社への転職をお考えの方には、以下の記事もおすすめです。
>>未経験で不動産業に転職したい方におすすめの転職エージェント型求人サイトをご紹介します!
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