お金持ちが多い場所は、人が少ないのに不動産価格が高く、一般人が多い場所では、人が多くても不動産価格が低いイメージがありませんか?
日本は人口が減るから不動産価格は下がる!とよく聞くので、今まで人口や人口密度と不動産価格の関係性を調べてきましたが、思ったより強い相関関係ではありませんでした。
(興味のある方は、最後にリンクを貼っておきますので、是非ご覧ください)
港区や渋谷区、目黒区などは人口も人口密度もそれほど高くないのに、不動産価格が高かったのです。
そこでふと思ったのが、不動産価格と平均年収は関係しているのではないか?ということです。
その考えが正しいのか、東京23区の不動産価格と平均年収の関係を、課税所得、公示地価、中古マンション平均成約価格などの統計データをもとに分析しました。
時系列データをもとに、収入の変化が不動産価格にどう影響するかも調べています。
これを見れば、不動産の買い時・売り時や、値上がりする街・値下がりする街のヒントになると思います。
結果としては、不動産価格と平均年収は強い相関関係があるということがわかりました!
東京23区の不動産価格と平均年収の関係 統計データをもとに分析
東京23区の不動産価格と平均年収の関係を、課税所得、公示地価、中古マンション平均成約価格などの統計データをもとに分析しました。
東京23区の不動産価格
・東京23区の平均公示地価
東京23区の、令和2年度の住宅地平均公示地価は、以下のようになっています。
大まかな傾向として都心部が一番高く、その後は 城南 ⇒ 城西 ⇒ 城北 ⇒ 城東 の順で地価が下がっていきます。
台東区や豊島区は、容積率が高い場所が多いため、㎡当たりの価格が高くなっているものと思われます。
・東京23区の中古マンション成約価格
続いて、東京23区の2019年の中古マンション平均成約価格は、以下の表になります。
住宅地の平均公示地価と、多少順位が異なっていますが、大まかな傾向としては同じです。
多少の違いはありますが、こちらも住宅地の地価同様に、都心 ⇒ 城南 ⇒ 城西 ⇒ 城北 ⇒ 城東 の順に低くなっていきます。
東京23区の平均年収
23区の平均年収は、(総務省 令和元年度 市町村税課税状況等の調)のデータから、各区の課税対象所得を納税義務者数で割ってだした数値です。
給料だけでなく、株や不動産などの投資による収入も含まれています。
各区の平均年収は、以下のようになっています。
こちらの順位も、不動産価格と同様に、都心 ⇒ 城南 ⇒ 城西 ⇒ 城北 ⇒ 城東 の順に低くなっていきます。
ちなみに余談ですが、年収の多い区と低い区の違いとして、年収が多い区は、給料以外(株や不動産など)の収入が多く、景気が良くなると年収が低い区に比べて、収入の上がり幅が大きいことがわかりました。
東京23区の不動産価格と平均年収の関係
・東京23区の住宅地平均公示地価と平均年収の関係
不動産価格と平均年収のデータが揃ったので、関係性を見ていきます。まずは住宅地の平均公示地価との関係です。
住宅地の平均公示地価と、平均年収はほとんどリンクしていると思われます。
散布図を見ても、きれいな右肩上がりになっています。
相関係数を算出してみると、0.93となり非常に強い相関関係と言えます。
・東京23区の中古マンション平均成約価格と平均年収の関係
続いて、中古マンションの平均成約価格と平均年収を関係を見ていきます。
こちらも、表をさらっと見ただけで、だいたい似たような順序で並んでいるのがわかります。
散布図を見ても、きれいに右肩上がりになっております。
こちらの相関係数も、0.93となり非常に強い相関関係があることがわかりました。
ここでまた余談ですが、中古マンションの平均成約価格が、平均年収の何年分にあたるのか見てみると、面白いことがわかります。
トップ3(港区、千代田区、渋谷区)の平均は、6年半しかありませんが、その他の区の平均は9年になっており、中古マンションの平均成約価格が高い区の人の方が、年収に対する住居費の負担が少ないことがわかります。
逆に、品川区、江東区、中野区、北区、荒川区は、10年を超えており、年収に対する住居費の負担が大きい人が多いようです。
考え方によっては、港区、千代田区、渋谷区はマンション価格が割安で上昇余地があるのに対し、品川区、江東区、中野区、北区、荒川区のマンションは割高で、今後下落する可能性があるかもしれません。
実際には、平均年収以外にも不動産価格に影響を与える要因があると思いますが、品川区、江東区、中野区、北区、荒川区の共通点がわからないので、要因も不明です。
東京23区の平均年収の変化と不動産価格の変化の関係
平均年収と不動産価格の関係には、強い相関関係があることがわかりましたが、ここでひとつ疑問がわきます。
平均年収が上がるから、不動産価格が上がるのか?
それとも、不動産価格が高くなると、平均年収の高い人が集まるのか?
鶏が先か、卵が先か?的なこの謎を解決するために、2010~2019年(10年間)までの東京23区の平均年収の推移と、不動産価格の関係を調べてみました。
表の指数は、前年比で上昇した場合はピンク、減少した場合はブルーで色付けしています。
相関係数は、0.91と非常に強い相関関係を示しています。
ちなみに相関係数は、2年ずらすと0.94になり、最も大きな数値となりました。(2010~2017年の平均年収と、2012年~2019の不動産価格)
年収は、2010年が一番低く、2012年と2015年に減少していますが、基本的にずっと上昇トレンドです。
不動産価格は、2012年まで減少トレンドで、2012年が一番低く、その後はずっと上昇トレンドとなっています。
それぞれに影響を与えそうな出来事は、2008年にリーマンショック、2011年に東日本大震災、2013年アベノミクス、2015年チャイナショックがありました。
出来事にデータを当てはめていくと、収入は出来事に対する反応が早く、1年単位で上下するのに対し、不動産価格は1年単位では上下せず、トレンドが数年続くことがわかります。
上記より、年収の変化に不動産価格が追従していると思われます。
まとめ
東京23区の平均年収と不動産価格の関係について、調査結果は以下の通りです。
・平均年収と不動産価格は、強く相関している。
・年収は経済的な出来事に左右されやすく、反応も早い。単年度で上下する。
・不動産価格は単年度では上下せず、大きなトレンドで変化する。
・年収の変化が先で、不動産価格はその後追従する。
今回の調査で、不動産価格は人口の増減や人口密度より、強い相関関係があることがわかりました。
将来日本の人口が減ったとしても、平均年収が上がれば不動産価格は上がるのかもしれません。
値下がりしない家を購入したい方は、お金持ちが集まる街を選ぶのがポイントです!
買い時・売り時に関しては、平均年収の変化に注目すれば、タイミングがわかるかもしれません。
他にも不動産価格に影響を与えそうな変動要因について調査している記事がありますので、興味のある方は是非ご覧ください。