近年、地震や台風による洪水、土砂災害など自然災害が多発しており、災害に対する注目度も上がっています。
自然災害の被害に遭うと、経済的な損害だけでなく命の危険もあります。
ビッグターミナル池袋駅がある豊島区は、人口密度が日本一で30万人近い人が住んでいますが、場所によっては災害の危険性が高いところがあるんです。
・豊島区に住みたい・家を購入したいけど、どこがいいのかわからない
・住むなら災害に強い安全な場所に住みたい
そんな方のために、色々な災害のハザードマップなどを見て、東京都豊島区のどの街が災害に強い安全な街なのか?どの街が災害の危険性が高い街なのか調査しました。
豊島区では、区の西部・区の中央部(池袋駅周辺)・北東部が安全性の高い街です。
特に【池袋駅】周辺は全体的に台地上に位置し、河川もないのであらゆる災害に強く、買い物や交通利便性にも優れているので安心して住める街です。
ハザードマップとは
ハザードマップとは、自然災害の危険性が高い場所を、危険度別に色分けして表示している地図です。避難場所や避難経路についても記載されています。
災害の危険性が高い場所に住んでいる人が、
・危険を認識すること
・災害時にスムーズかつ迅速に避難できるようにすること
・事前に災害対策をすることにより被害軽減を図るため
に作成されています。
最近では、マイホームを購入するときの参考資料としても利用されています。
ハザードマップには、自然災害によって様々な種類があります。
自然災害の危険性は住んでいる場所によって異なるので、全ての市区町村に全ての種類のハザードマップがあるわけではありません。
例えば海に面していないところでは、津波ハザードマップはありません。
公表しているハザードマップの種類が多いところほど、自然災害の危険性が高いとも言えます。
また、ハザードマップは法律に基づいて作成しているものと、自治体独自の判断で作成しているものがあります。
豊島区では、土砂災害ハザードマップと洪水・内水ハザードマップを公表しています。
ハザードマップについてもっと知りたいという方には、詳しく解説している記事がありますのでそちらをご覧ください。
ハザードマップとは何か?種類や見方、活用方法などをわかりやすく解説します!
また、自然災害の危険性は住んでいる場所以外に、起こる災害によっても種類が変わってきます。
なので、家を購入する際や、自分の家にどんな災害リスクがあるか調べたい場合は、全てのハザードマップ情報に目を通した方がいいと思いますが、具体的な災害が発生した場合または発生すると予想される場合は、関係する情報だけピックアップして見て頂ければと思います。
災害ごとのチェックすべきハザードマップは、以下になります。
・地震が起きた場合
地震(揺れやすさ)・液状化・津波・土砂災害・ため池
・台風が来る場合
洪水・内水・高潮・土砂災害
・火山が噴火した場合
火山(噴火)ハザードマップ
それでは、実際に様々な資料を見ていきます。
東京都豊島区の地形
各災害の危険性を見る前に、豊島区の地形がどうなっているのか見ていきたいと思います。
災害の危険性が高い場所は、主に周囲に比べて標高の低い場所(低地)、急激に標高が変わる場所(急傾斜地)、川沿いの地域になります。
これらは、色別標高図を見れば大体のことがわかります。
色別標高図からわかる豊島区の地形の特徴は、以下になります。
・複数の川があり、川沿いの地域では周囲に比べて低地が広がる (細長く周囲と色が変わっている部分)
・低地と台地の境目では、急な傾斜地になっている(水色~緑~黄色~オレンジに狭い範囲で色が変わっている部分)
・川沿いの地域以外では、全体的に台地が広がっている(オレンジ色の部分)
豊島区は武蔵野台地という台地部分と、台地が川によって削られてできた谷地がいくつかあり、海抜8m~36mと起伏のある地形となっています。
安全な街の結論を言ってしまうと、色別標高図で濃いオレンジ色の台地部分が、災害に強い安全な街になります。
※ 場所によっては、他の色の部分でも災害に強い安全な場所があります。
豊島区の地形がわかったところで、各ハザードマップでは実際にどのようになっているのか、詳しくみていきましょう。
豊島区の【洪水】危険度
豊島区洪水・内水ハザードマップをもとに、水害の危険性が高い場所を調査していきますが、その前に水害と関係性の深い、河川について解説します。
豊島区を流れる河川
豊島区には、大小複数の川が流れています。代表的なものをご紹介します。
・谷端川
区の中央部をN字に流れている川で、暗渠化(川の上に蓋をして道路状になっている)しているので、地上からは見えません。緑道となっています。
・神田川
区の南部にあり、新宿区との区界を流れています。新宿区の下落合駅~豊島区の高田橋(高田3丁目)のあたりで、妙正寺川と合流して一気に水量が増します。
・谷田川
区の東部にあり、北区との区界を流れています。東京都中央卸売市場豊島市場のあたりが水源となっており、 暗渠化 されているのでどこにあるのか非常にわかりづらくなっています。
豊島区で水害の危険性が高い場所
豊島区の河川のことがわかったところで、豊島区洪水・内水ハザードマップを見ていきます。
想定している最大規模の雨量は、1時間最大雨量 153ミリメートル・ 24時間総雨量 690ミリメートルとしており、河川の氾濫だけでなく内水氾濫の浸水想定区域も表示されています。
内水氾濫とは … 雨水が下水道で処理しきれずに、溢れ出す現象です。
渋谷区で水害の危険性が高い場所は、上で説明した川沿いのエリアです。
・北西部の練馬区との区界
長崎6丁目
・谷端川沿い(山手通り沿い、東武東上線沿い、宮仲公園通り沿い)
千早1~2丁目・要町1~2丁目・長崎2丁目・目白4~5丁目・西池袋4~5丁目・高松1丁目・池袋本町1~4丁目・池袋1、3~4丁目・上池袋1~2丁目・西巣鴨1丁目・北大塚1~2丁目・南大塚1丁目
・神田川沿い(区の南部)
高田1~3丁目
・谷田川沿い(区の北東部)
駒込1~7丁目・巣鴨1~2丁目
ちなみに、高田1~3丁目の神田川沿いのあたりは、ハザードマップによると想定される浸水深が5~10mにもなる非常に水害の危険性が高い地域ですが、江戸時代には田んぼがあった場所です。
その後、昭和初期には工場が建ち並ぶ地域でしたが、近年は工場跡地にマンションが建設されるようになっています。
少し専門的な話しになりますが、神田川沿いの浸水想定区域はごく一部を除き、大部分が現在でも準工業地域という用途地域に指定されています。
準工業地域とは、わかりやすく言うと中小の町工場と、そこで働く人の住居があるような地域です。
準工業地域は、住居系地域に比べて容積率が高い傾向にあることに加え斜線制限が緩いので、災害に弱く住宅地に適している土地とは言えないのにも関わらず、建てやすいという理由からマンションが増えています。
この傾向は、豊島区に限らず都市部の準工業地域で多くみられます。
また、最近は駅近の家が人気ですが、駅の近く=商業地も住宅地に比べると災害に弱い傾向がありますので、注意が必要です。(全ての駅に当てはまる訳ではありません)
>>駅近の一戸建てはメリットよりデメリットがいっぱい?宅建士が自身の体験談とともに解説します!
豊島区の【地震】危険度
地震危険度については、地盤の揺れやすさ・首都直下地震発生時に予想される震度・大地震発生時の危険度の3つをみていきます。
豊島区で地震が起きたときの揺れやすさ
まずは、地震が起きたときどれくらい揺れやすいのか、みていきたいと思います。
下の図は、東京都の表層地盤の揺れやすさを表しています。赤い〇で囲まれている場所が豊島区です。
豊島区は、東京23区の中では揺れにくい地盤をしていることがわかります。
画像が小さくて見づらい部分もあると思いますので、豊島区を拡大してみたいと思います。
豊島区は緑色の場所が大部分を占め、特に区の中央部に当たる池袋駅周辺は、揺れにくいとされる水色の場所が多く見られることから、良好な地盤であることがわかります。
区内で他の場所に比べて揺れやすいのは、区の東部で、住所で言うと駒込5~7丁目辺りになります。
ここで余談ですが、池袋と言えば水族館もある超高層ビルのサンシャイン60が有名ですが、このビルは1978年に竣工しております。
高層建築の技術が今と比べればまだ未熟だったこの時代に、当時アジアで最も高い地上240mの高さのビルが建てられた背景には、強固な地盤(東京礫層)の存在があるのです。
首都直下地震発生時、豊島区で予想される震度
つづいて、首都直下型地震がおきたら、どれくらい揺れるのか見ていきます。
下の図は東京都が公表している、首都直下地震の震度分布予想です。
赤い〇で囲まれた部分が、豊島区です。
予想される震度は、区内の大部分が6弱となっており、東京23区の他の区に比べると震度が低いと予想されています。
東京都が公表しているこの資料を見ていて気づいたのですが、新宿区と豊島区の間を流れる神田川沿いが震度6弱で、その周囲(特に新宿区側)が震度6強になっています。
通常、川沿いの地域は湿地帯だったような場所で、台地部分より地盤が弱く地震でも揺れやすいとされています。
上の図では、逆に川沿いの地域の方が地震で揺れづらいことになっています。
東京都の担当部署に問い合わせてみたところ、川の近くであっても固い地盤までの距離が浅いと揺れづらくなることがあるとのことでした。
そこで豊島区が公開している神田川沿い(高田1~3丁目)のボーリングデータを見てみると、東京都の担当者の方が言った通り、比較的浅い位置に固い地盤が存在していることがわかりました。
なので、神田川沿いは水害に弱い場所ではあるけれども、地震には強い場所ということがわかりました。
大地震発生時、豊島区で危険性が高い場所
地震に対する危険度は、震度がどれくらい大きいかだけでは測れません。地震に強い建物が多いのか少ないのか、道路が広いのか狭いのかで、災害時の危険度は大きく異なります。
下の図は、東京都が公表している地震に関する地域危険度測定調査より、練馬区の建物倒壊危険度・火災危険度・避難活動困難度を総合的に判断して、地域の危険度を表したものです。
豊島区は人口密度が高いため、場所によっては建物が密集しており危険度ランクが高くなっています。
上の図ではわかりませんが、豊島区は東京23区の中でもどちらかというと、危険度ランクが高い区です。
豊島区内で最も危険性が高い、危険度ランク4の場所は以下になります。
池袋本町3丁目・上池袋3丁目・駒込6~7丁目・雑司が谷2丁目・長崎2~4丁目・東池袋5丁目・南長崎2~3丁目
大きな地震が起きたとき、自分の家が大丈夫でも周りの家が倒壊したり、火災が起きると、結局自分の家も危険になります。
あまりにも道が狭かったり、古い木造住宅が密集している地域、旗竿地の家などは災害時の危険性が高いので、注意しましょう。
>>旗竿地は安いけどやめたほうがいい?メリット・デメリットをわかりやすく解説します
豊島区だけでなく、東京23区全体の地震危険度について知りたいという方には、詳しく解説している記事がありますので、そちらをご覧ください。
>>東京23区【地震危険度ランキング】地震に強い地域はここだ!
豊島区の【液状化】危険度
渋谷区では、液状化ハザードマップを作成していないため、東京都が公表している東京の液状化予測図(平成24年度改訂版)をもとに、液状化の可能性がある場所を見ていきます。
豊島区は全体的に液状化の可能性が低い地域となっていますが、一部可能性がある地域が存在しています。
液状化の可能性があるのは、以下の地域です。
西巣鴨1丁目、上池袋1丁目、北大塚2~3丁目、南大塚1~2丁目、駒込1~3・6~7丁目
上記の地域は、谷端川および谷田川沿いの地域です。
液状化の危険性が高い場所は水害の危険性も高い傾向にありますので、注意が必要です。
豊島区の【土砂災害】危険度
豊島区の土砂災害ハザードマップをもとに、土砂災害の危険性が高い場所を見ていきたいと思います。
土砂災害とは、土石流・地すべり・がけ崩れなどのことで、大雨の際や大きな地震が発生したときに起こりやすい災害です。
豊島区内には土砂災害警戒区域が21か所(うち土砂災害特別警戒区域10か所)存在しますが、場所は3カ所に集中しています。
土砂災害警戒区域等がある場所は、以下になります。
駒込地区(区東部)… 駒込1・2・7丁目
南大塚地区(区南東部)… 南大塚1丁目
高田・雑司ヶ谷・目白・南池袋地区(区南部)… 高田2丁目、雑司ヶ谷2丁目、目白1丁目、南池袋4丁目
土砂災害の危険性が高い場所は、傾斜が急な場所なので、日常生活にも不便な部分があります。
また、そのような場所は河川が台地を削ってできた場所なので、崖下の地域では水害の危険性も高いことに注意して下さい。
細かい場所に関しては、必ずハザードマップで確認しましょう。
東京都【豊島区】で災害に強い安全な街
各災害に対して危険な場所がわかりましたので、消去法で全ての災害に強い安全な街を発表いたします。
下の図で、色のついた部分が安全な街になります。
豊島区で、特に災害に強い安全性な街の具体的な住所は以下になります。
高松2~3丁目、雑司ヶ谷1・3丁目、上池袋4丁目、西巣鴨2~4丁目、西池袋1~3丁目、千川1~2丁目、千早3~4丁目、巣鴨3~5丁目、池袋2丁目・長崎1・5丁目、東池袋1~4丁目、南大塚2~3丁目、南池袋1~3丁目、南長崎1・4~6丁目、北大塚3丁目、目白2~3丁目要町3丁目
大まかな位置的に言うと、区の西部・区の中央部(池袋駅周辺)・北東部が安全性の高い地域です。
※ 上記街の中にも、局所的に災害危険性の高い場所があります。逆に上記に記載のない街の中にも安全性の高い場所もございますので、必ずハザードマップで詳しい位置の情報をご確認下さい!
まとめ
豊島区では、区の西部・区の中央部(池袋駅周辺)・北東部が安全性の高い街です。
特に【池袋駅】周辺は全体的に台地上に位置し、河川もないのであらゆる災害に強く、買い物や交通利便性にも優れているので非常にオススメです!
区の特徴としては、地震や液状化に強く、土砂災害の危険性がある場所もそれほど多くない。また、海から離れているため、津波や高潮の危険性がありません。
しかし、河川が複数流れており、 大雨の際には河川の氾濫による洪水の危険性があるので、河川の近くは注意しましょう。
河川は暗渠化していて存在がわかりづらい場所もありますが、河川の近くに住まなければ非常に災害に強く安心して住める街です!
マイホームを購入する予定がある方は、今回の調査結果を参考にして頂いて、最終的には詳細な位置の災害危険性をハザードマップなどでしっかり確認しましょう!
また、日頃から災害対策をしておくのも重要です。自然災害は広範囲に影響を及ぼすので、安全な街に住んでいても、ライフラインが使えなくなる可能性があります。
防災用品を用意するなど、万が一のことが起こっても大丈夫なように対策しておきましょう!
当サイトでは、東京23区で安全な街はどこなのか調査して、ランキングにした記事もございますので、興味のある方は是非ご覧ください。
豊島区は、23区中3位にランクインしています。
>>ハザードマップで見る、東京23区災害に強い安全な街ランキング
また、他の区の安全な街をハザードマップをもとに調べた記事もありますので、興味のある方はご覧ください。
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家選びの参考になるような記事もありますので、これからマイホームを購入しようと思っている方は、是非ご覧下さい。